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鍋野敬一郎氏「ERP再生計画」第19回:ERP+RPAで出来るお客様サービスの強化

□はじめに

 国内のRPA市場は急成長していて、2018年度の売上規模は前年のほぼ2倍となる約80億円となり、今後も当面はこのペースで市場が成長していくと予想されています。その理由として、堅調な企業業績にも関わらず少子高齢化などによって人手不足となっていることです。企業の成長を阻害する要因の1つとして、人手が足りないことが理由という回答を上げる企業が増えています。コンビニや外食チェーンなどは、人手が確保できないために営業時間を短くせざるを得ない状況となり。物流業界や引越業界でも、運転手や作業者不足で荷物の受け入れ制限や引越日程を遅らせるという状況です。IT業界はさらに深刻な状況で、ある大手企業でERPの刷新を計画したのですが要員確保の目途が立たないという理由で声を掛けた全てのベンダから提案を断られたという話を数件聞いています。お客様ニーズに応えられない理由は、全て人手不足に寄るものです。RPAは、これまでバックオフィスの業務領域で使われてきましたが、そろそろお客様サービスへの展開にも取り組まなければならないと思います。今回は、お客様サービス向けにRPAを活用する場面についてご紹介いたします。

■お客様サービス向けに適したRPAの活用ポイントとは

 エン・ジャパンが運営する人事向け総合情報サイト「人事のミカタ」が、「人材不足の状況」についてのアンケート調査結果を発表しています。

(図表1:人材不足と回答した企業の“業種別”)

(出所:「人材不足の状況について」https://partners.en-japan.com/enquetereport/142/) 

 図表をご覧いただければ分かる通り、ほぼ全ての業種で8割以上の企業が“人材不足”であると回答しています。不足している人材の職種について、その結果では足りないのは“営業職”だと回答しています。

(図表2:不足している人材の“職種”)

(出所:「人材不足の状況について」https://partners.en-japan.com/enquetereport/142/

 営業職(35%が不足と回答)の次は、技術系(18%が不足と回答)なのですが営業職は技術系の約2倍です。営業職の人手不足は、かなり深刻な状況にあることが分かります。この調査結果は、2019年1月29日に公開された情報なのですがここから予想されるのは、企業業績の成長を阻害する要因の1つが“営業職”の人手不足となります。つまり、売上に直接悪影響があると考えられます。これまで、RPAはバックオフィス業務の省力化/自動化による作業時間短縮(時短)に大きな効果を上げていましたが、“営業職”の労働時間を減らすようなケースはほとんどありません。その理由として、RPAを導入する業務内容が事務作業やルーティンワークに限られていた事によるものだからです。“営業職”の主な役割は、お客様個々の要件に対応した提案や判断が求められる活動であることから、これまでのRPAの使い方では対応が難しいからだと思われます。

■“営業職”不足に効果があるRPAの活用方法とは?

 RPAの事例紹介で多いのは、経理業務や調達業務などのバックオフィス系業務です。業種や企業独自のこだわりなどはありますが、概ねRPAで効率化、省力化に高い効果を得ることが出来る業務です。しかし、このアンケート調査結果を見ると、緊急対策が必要な職務は“営業職”であることが分かります。“営業職”の活動内容には、都度ごとに営業担当者の判断が必要となります。これが、RPAをこれまでと同じような感覚では使えない理由です。しかし、営業担当者の提案書作成作業を分解するとお客様ごとに“①お見積りを作るための価格情報/納期情報/値引きなど販売条件と言った情報を検索・収集する”、“②お見積りの内容を事前チェックする”、“③提案書を作る”の3つの作業に分けることが出来ます。営業経験が長い人ほど、①の作業は短い時間で出来ますが経験が少ないと何倍もの時間が掛かります。②の作業は、上長や関係する部署にチェックしてもらう作業です。これは、その都度判断が必要となるため自動処理は出来ないケースが多いと思います。③の提案書を作成する作業は、案件によって見積もりだけ入れれば簡単に作成できるケースもあれば提案書という形で個別に文章作成が必要となるケースもあります。最近は、顧客情報ごとに案件情報をSFAなどで共有管理するケースが増え、見積もりや納期回答をするための情報検索・収集も出先のスマートフォンで行うことが出来るようになってきています。こうした情報は、ERPとSFAに跨っているので、情報検索と収集作業は手間と時間が掛かります。つまり、RPAでこの①の作業を時短できれば“営業職”の活動を支援することが可能となります。ポイントは、「ERP+RPA」ではなく、「ERP+SFA+RPA」という少しレベルアップしたRPAの使い方となります。RPAの最も重要な役割は、ルーティンワーク(定型業務)を自動化して早く回すだけでは不足です。RPAの強みである“正確性とスピード”を活かして、ERPとSFAに共通する情報収集を自動化して営業活動の手間を減らすのが目的となります。例えば、提案活動をサポートするRPAの使い方として「見積書作成をパターン化して自動化作成する処理をRPAで実現する」というような使い方が想定されます。

 “営業職”におけるERPの役割は、お客様へ請求と納期回答を行うための情報を管理することです。受注処理のことですが、ここでは請求書を発行するための情報と納期回答を行うための情報を管理記録する役割を持っています。営業活動は、この受注を獲るまでの活動履歴や関連情報を持っていますがこれを管理しているシステムはSFAです。「どの商品を、どれだけの数量で、いつまでに、いくらで欲しいのか?」というやり取りがSFAで管理されています。つまり、RPAを利用して“営業職”の提案支援をサポートする仕組みを構築する場合には、SFAとERPの両方のシステムにある情報を利用する必要があります。会社や業種によっては、これ以外にも必要な情報があるかもしれませんがこれまでERP+RPAという使い方では、“営業職”向けにRPAを展開出来ない可能性が高いと思われます。ということで、まとめとしては、「ERP+RPA+SFA」という構成で活用してみるというのがポイントとなります。決まったルーティンワークを自動処理するだけのRPA利用から、パターン化した業務にも対応したサポート業務にRPAを利用していく使い方が期待されます。人間がやる高度な判断は当然無理ですが、条件分岐で簡単な選択をするようなことがAIで可能になりつつあります。

 今回は、RPAとERPの連携による強みとして“正確性とスピード”に注目した活用ケースをご紹介しました。RPA+ERPは、バックオフィス業務「守りのIT」だけではなくお客様サービス「攻めのIT」の手段としても有効単な手段になり得るということをご紹介しました。次回は、マシンラーニング(機械学習)を使ったERPをご紹介するとともにお客様向けRPA活用方法についてお話いたします。

◆このコラムについて
ビジネスコンサルタント 吉政忠志氏(吉政創成株式会社)より

鍋野敬一郎氏の「ERP再生計画」第19回「ERP+RPAで出来るお客様サービスの強化」はいかがでしたでしょうか?このコラムを掲載いただいている日商エレクトロニクスでは、RPAの特設ページを作り、導入調査データも公開しています。興味がある方は以下のページもご覧ください。

RPA https://erp-jirei.jp/rpa_jirei

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このコラムを連載いただいている日商エレクトロニクスでは先駆者としてRPAの自社導入にも取り組んでおり、経営企画部、財務経理部、人事総務部の3部門でRPAをGRANDITE連携で導入し、ROI 590%と770万円のリターンを実現しています。そして成功事例の分析資料も以下のセミナーレポート内で公開しています。興味がある方は是非ダウンロードください。こちらにはガイドライン的なものも書かれています。

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https://erp-jirei.jp/archives/1059
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