保険業界の近代化とミッシングリンク

もしあなたが保険業界で働いているとしたら、仕事での嫌な一日は次のような感じになるかもしれません。まず、ある顧客があなたの会社の保険契約をキャンセルして、競合他社に乗り換えることを伝えてきます。なぜなら、その顧客の保険金請求を解決し支払いを行うために必要な事故報告書や鑑定書、その他の書類のやりとりに遅れが生じたためです。その数時間後には、別の見込み顧客が、他の“オンライン”会社よりも保険の審査に時間がかかりすぎたと訴えてきます。さらに、あなたの同僚の報告書の大部分がコンプライアンス監査に失敗します。なぜなら、法的紛争を解決するための適切な書類を見つけるのが難しかったためです。あなたの会社で働く人々はみな、フラストレーションを抱えています。ビジネスチャンスを失っただけだけでなく、業務プロセスを改善して対応力を促進させようとする試みが失敗したからです。

残念ながら、中心となるシステムや業務プロセスを自動化したと思っていても、上記のような話はよくあることです。みなさんの会社のスタッフは、反復的で平凡な作業に飽き飽きしているかもしれません。顧客とのやりとりの回数を減らし、より目的意識を持って接することで生まれる顧客体験を提供したいと考えているのに、迅速な顧客対応やデータ管理が上手くいっていないかもしれません。一方で、アジャイルなFinTechやInsureTechのサービスは、使いやすいモバイルアプリによる合理化された顧客中心の業務プロセスによって、みなさんの顧客を吸い取っている可能性があります。現代の保険業界の顧客は以前よりも技術に精通しており、人間とのやりとりを最小限に抑えた、リアルタイムに提供されるパーソナライズされたサービスや返答を求めています。

これらの課題は非常に一般的なものであるため、多くの組織がロボットによる業務自動化(RPA)に目を向け、顧客体験から摩擦を取り除こうとしています。現在では、フロントでのリクエスト管理からバックオフィスの業務自動化まで、あらゆる場面でボットが使用されています。そのメリットとしては、反復的なルーチンタスクの自動化や、書類の整合性の保護、人間とのやりとりを減らして業務プロセスのライフサイクルを加速させることなどが挙げられます。しかし、RPAは戦略的に販売されていますが、世の中のリーダーたちは複数の課題を報告しています。Pegasystems Inc.のあるグローバル調査によると、RPAの導入は予想以上に難しく、より多くのメンテナンスが必要になることがわかっています。また、間違った業務プロセスを自動化していたり、業務プロセス全体を自動化していないことが主な原因で、自動化のソリューションを購入する際に設定された期待よりもその効果が下回っています。

もう一つの課題はというと、リーダーたちは、RPAは業務プロセスを自動化するだけで、業務プロセスを修正することはできないことに気付いています。隠れた業務プロセスの欠陥を発見できずに、収益や効率性を低下させている企業は、間違った分野の自動化に予算を投入してしまい、なぜ劇的な改善が見られないのかと疑問に思うことがよくあります。当然のことながら、悪い業務プロセスを自動化しても結果は芳しくありません。驚くべきことに、ほとんどの保険会社は、自社の業務プロセスがどのように機能しており、どこで自動化が実際に違いをもたらすのかを本当のところは知らないのです。

高コスト低効率

他の業界と同様に、保険業界はデジタルの世界で業務を行っています。現代の消費者は、銀行や保険会社にスムーズでアジャイルなユーザー体験を求めています。しかし、従来の保険会社の多くは、古くて不透明な業務プロセスに縛られており、顧客が期待するスピードやパーソナライズされた顧客体験の妨げになっています。保険は書類を中心とするビジネスですが、その業務プロセスと自動化されたシステムはデータ上で実行されています。今日のアプリ化されたモバイル時代にあって、顧客は保険の業務プロセスをよりコントロールしたいと考えており、ナビが可能で視覚的にも魅力的なアプリを使って保険会社とのやり取りのスピードを速めることを期待しています。デジタルトランスフォーメーションや業務自動化への投資が行われているにもかかわらず、必要な書類がこれらの業務プロセスとどのように相互作用するかについての疑問は、いまだに後回しにされています。さらに悪いことに、保険会社は自社の業務プロセスがどのように機能しているかを実際に知ることなく、不適切な業務プロセスの効率化にリソースを集中させています。自動化のメリットを得るための最も重要なステップは、業務プロセスが実際にどのように機能しているかを知ることなのです。

以下の典型的な課題について考えてみましょう。

  • 顧客がイライラしている。なぜなら、新しい契約や保険料、あるいは保険金の判決についての返事を聞くのに時間がかかりすぎているから。顧客はバックエンドの業務プロセスの返事をただ待つのではなく、掌握したいと考えている。
  • マニュアルや書類中心のワークフローは、契約査定、リスク評価、調査、保険契約の分析、保険金処理、保険代位、監査準備などの作業を妨げているが、これらはすべて、書類処理自体が十分に理解されていないか、自動化されていないためである。
  • チームは、書類からデータを正確に抽出し、デジタル化し、共有し、分類することに苦労しており、コンプライアンス監査に悪影響を与えたり、不正を隠蔽したり、顧客対応を遅らせたりしている。
  • 作業のパフォーマンスを測定できないため、非効率的な作業をテクノロジーで最適化しようとするが、結果を阻害しているのは自動化ではなく、基礎となる業務プロセスなのである。

では、なぜ、RPAは期待された成果を上げられないのでしょうか。デジタルトランスフォーメーション、特にロボットによる業務自動化に価値がないわけではありません。成果を上げられない理由は、正しい自動化戦略を実行するために必要な業務プロセスの可視性をリーダーたちが欠いているからです。彼らは、自社の業務プロセスのどこが弱いのか、チームがそれぞれのタスクにどれだけの時間を費やしているのか、どこに障害があり、どこで書類の整合性を失っているのかを把握していません。その結果、実は誤った業務プロセスを自動化してしまう可能性のあるテクノロジーに多額の投資をしてしまうのです。

よりスマートなデジタルトランスフォーメーションの推進

保険会社の書類管理と業務プロセスの効率性の高さは、より新しく、よりアジャイルなオンライン保険会社との競争に勝てるかどうかを左右します。自動化を最も効果のある場所に適用するためには、リーダーは自社のワークフローと業務の真の有効性を理解しなければなりません。これを行うためには、保険会社はまず、自社の業務を事実に基づいて正直に見る必要があります。そこから、書類がどのように業務プロセスを通過しているのか、あるいは業務プロセスを破壊しているのかを発見することができます。どこで手作業によるエラーが発生しているのか、データ抽出がどのように機能しているのか、顧客離れや対応スピードが最も深刻なのはどこなのか、といった業務プロセスそのものを十分に理解しなければ、RPAだけでは業界の課題に対処することはできないのです。しかし、適切な業務プロセスの発見と評価から始まる適切な書類処理のソリューションは、RPAの力を増幅させ、効率を高め、ROIを高めることができます。

今の時代はまさに、保険会社の顧客に対して、デジタルの利便性や顧客中心の新しい業務プロセスの世界を提供できる最適な時代です。しかし、21世紀の期待に応えるためには、保険会社のリーダーたちは正確なインサイトのロードマップを使用して、デジタルトランスフォーメーションを正しい分野にインテリジェントに誘導しなければなりません。それができて初めて、保険会社は顧客の維持と収益を促進し、顧客が常にトップに立ち続ける顧客体験を提供することができるのです。

参考ブログ

本コラムはこちらのブログを参考に執筆者の見解でまとめたものです。Abby社の公式見解ではありませんのでご注意ください。

日商エレクトロニクスのRPAソリューションについては以下をご覧ください。
https://erp-jirei.jp/rpa_jirei

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