鍋野敬一郎氏「ERP再生計画」第29回:プロセスマイニングとRPAがERP再生を支える

□はじめに

 2020年は人類史に残る厄災の年として、我々の記憶に深く刻まれる年になりそうです。前回の冒頭に書いた「2020年は、東京オリンピックイヤー」というのがわずかひと月で見事に外れてしまいました。我々が住む世界は日々変化していますが、ときにわずかな時間で劇的に変化してしまう絶妙なバランスの上に成り立っていたことに気付かされます。環境は刻々と変化しています、その変化に合わせて自らの行動を変える柔軟性が大切です。今回は、業務プロセスの見直しについてその最新ツールについてお話したいと思います。

■AS-IS現状にRPAを導入しても上手く動かない理由とは

 ERPとRPAを連携させて繰り返す処理を自動化して、省力化、時間短縮出来るのはみなさんもよくご存知だと思います。大企業でも経理部門や購買部門なので既に本格的な導入が進んでいて、最近ではこうしたERP+RPAによる導入効果をさらに横展開して行く動きが広がっています。また、地方行政でもExcelとウェブシステムを中心とした繰り返し作業が多いことから、Excel+ウェブシステムのオペレーションをRPAで自動処理する取り組みや、中堅中小企業でも大企業同様にERP+RPAの導入が加速しています。しかし、ここで問題になっているのがERP+RPAによる処理が途中で止まってしまうことです。これは例外処理や、特定のマニュアルオペレーションが必要となる特殊な取引なので生じることが多く、日本企業にはこうした例外処理が数多くあります。筆者が業務プロセスの調査に入ってヒアリングを進めていくと、必ず属人的な例外オペレーションが見つかります。通常は、スコープ外として議事録などに記録を残して次に進めます。しかし、こうした例外処理が多くて、RPAでは処理出来ないケースが多数見つかります。RPAを導入しても、思った以上に効果が出ないということになります。

 ERPとRPAが連携して効果を発揮するのは、システムと人間の作業に、「マニュアルによる繰り返し作業が多い」、「組織間の役割が曖昧」、「煩雑なルール変更がある」と言った場合です。ERP+RPAの効果を最大化するためには、現状のAS-ISをプロセスマイニングツールで解析してから、業務の標準化とシンプル化・部品化を行ってBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)による業務プロセスの最適化と合わせて導入する必要があります。RPA導入前に、「オペレーションの整理/役割の明確化/業務プロセスの標準化」などを行うことで、導入効果を最大化することが出来きます。しかし、いつの時代もBPMの導入は労力に比べてリターンが低いと言われています。また、経理や財務、調達といった部門ならば、月末締めの月次処理などがプロセスをテンプレート化して、そのテンプレート部品を組み合わせて新しい業務プロセスを描くことは可能ですが、対象となる業務プロセスやシステムの仕様書やマニュアルを参考にしても、多くの場合RPAがスムーズに導入出来ないのです。その理由は、業務処理の例外処理や属人化にあります。

■業務の効率化を整理するプロセスマイニングツールとは

 業務の効率化を行うためには、業務プロセスを棚卸して、整理、可視化する必要があります。具体的には、マニュアルを調べたり業務担当者に業務ヒアリングを実施したりして、業務プロセスを整理していくのですが、マニュアルが最新ではなかったり、担当者が把握していない、忘れているイレギュラー対応などが必ずあります。これを見過ごしたままRPAを導入すると、思ったほど効果が出ない、RPAロボットの動作が不安定など、満足のいく結果が得られなくなります。複数の部署や担当者が入り交じる複雑な業務プロセスだと、RPAによる自動化にたどり着くことも難しいでしょう。こういった課題にアプローチする手法として、使えるツールが“プロセスマイニング(Process Mining)“です。

 プロセスマイニングツールは、ERPやSalesforce、ウェブやクラウドなども含む各種プラットフォームやExcelなどのオフィスツールからのイベントログをデータとして入力することで、対象となる業務プロセスを含む全てのプロセスの一般的な業務フローや例外処理のプロセスフローを全て網羅することが出来ます。その実際のログデータから収集したプロセスフローを可視化して、ボトルネックや問題点を分かりやすく管理することが出来ます。その機能は、次の4つです。(参考、セロニス社製品より)

1.イベント収集:

 APIが公開されているSAPなどERPや、オラクルなどデータベースシステム、セールスフォースといったクラウド基盤などにプロセスマイングツールのコネクタを使用して、自動的にイベントログを収集します。

2,プロセス検出:

 前述のイベントログから、一連の業務処理プロセスを検出することが出来ます。また、複数の処理パターンを可視化することが出来ます。

3,プロセス分析:

 プロセス検出した結果をBIダッシュボード機能でレポートします。イベントログから処理したプロセスの数や処理時間、トランザクション寮やスループットなどと言った詳細データを分析することが出来ます。

4,アクションエンジン:

 プロセスデータをインプットして、その動きをAI機械学習で解析して最適なタイミン付で、RPAなどのサービスやERPとの連携を見つけ出すことが出来ます。

このように、これまでは仕様書やマニュアル類、担当者からの聞き取りからAS-IS現状の業務プロセスを属人的に描いていたものが、定量的かつ定性的にロジカルに業務プロセスを分析することが可能となります。プロセスマイニングツールを利用して全てのイベントログを分析することで、例外処理や不十分な職務分掌、ルール逸脱、効率の悪い業務処理、ボトルネックなど問題点の原因特定といった業務プロセスに起因する問題を特定して、業務改善をスピーディーに行うことが出来ます。ここから、新しい最適な業務プロセスを定めて業務プロセスの標準化を行ってからRPAを導入すればその効果を最大限得ることが出来ます。現状の業務プロセスをそのまま使ってRPA導入するよりも、現状の業務プロセスを見直して標準化してからRPAを導入した方が当然ムダな処理やエラーを減らせることが出来ます。

◆このコラムについて
ビジネスコンサルタント 吉政忠志氏(吉政創成株式会社)より

鍋野敬一郎氏の「ERP再生計画」第29回「プロセスマイニングとRPAがERP再生を支える」はいかがでしたでしょうか?RPAは普及・活用期に入っていると思いますので、今回のコラムも参考位なった方が多いと思います。このコラムを掲載いただいている日商エレクトロニクスは自社のRPA導入も含む経験が豊富であり、商社とIT会社については特に、ERPとの連携のノウハウも高いです。商社とIT会社の皆様でRPAの導入を検討されている方は、是非、日商エレクトロニクスのコンサルタントにご相談ください。良い提案ができると思います。

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このコラムを連載いただいている日商エレクトロニクスでは先駆者としてRPAの自社導入にも取り組んでおり、経営企画部、財務経理部、人事総務部の3部門でRPAをGRANDITE連携で導入し、ROI 590%と770万円のリターンを実現しています。そして成功事例の分析資料も以下のセミナーレポート内で公開しています。興味がある方は是非ダウンロードください。こちらにはガイドライン的なものも書かれています。

【レポート】ERP勉強会 次世代ERPに求められる条件
https://erp-jirei.jp/archives/1059
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