デジタルワーカーを軌道に乗せるためには

デジタルワーカーの潜在能力を引き出し、RPAに対する投資効果を最大化するためには、デジタルワーカーにも人間の労働者と同じようにトレーニングとオンボーディングが必要です。

現在、世界中の企業で数百万人のデジタルワーカーが雇用されています。実際にIDCの新しい調査では、ロボットプロセスオートメーション(RPA)プラットフォームを含むデジタルワーカーの数は2021年までに50%増加すると予測されています。未来の仕事は、デジタルワーカーが人間の労働者と協力して仕事を補完・強化し、より大きなビジネス成果を達成していくことになるでしょう。

多くのRPAプロジェクトはデジタルワーカーをデプロイすることで何兆ドルもの節約が期待されているにもかかわらず、その潜在能力を十分に発揮できていません。根本的な原因は、多くの場合、デジタルワーカーが非構造化コンテンツを処理する方法を知らないことです。RPAで最大のROIを実現するためには、デジタルワーカーが適切にトレーニングとオンボーディングされ、最も効果的に仕事を遂行するために必要な認知スキルを備えている必要があります。

みなさんが会社で新しい役割を開始したとき、おそらく誰かが会社の作業を説明し、みなさんの責任範囲について詳細に説明したことでしょう。このオンボーディングプロセスは、みなさんが役割を全うするために重要です。しかし、このロードマップは新しいデジタルワーカーにも常に行われているわけではありません。以下にご紹介する手順は、デジタルワーカーを組織に雇用し、トレーニングし、一人前にするためのガイドとして役立ちます。

ステップ1:雇用プロセス

最初のステップは、そのデジタルワーカーを本当に雇うべきかどうかを判断することです。RPAには、作業の合理化、反復的で時間のかかるタスクの自動化、運用効率の向上など、多くの利点があります。ただし、すべての作業がRPAに適合しているわけではないことを理解することが重要です。さらに悪いことに、デジタルワーカーが「適任ではない」タスクを実行したり、遂行するための技術的スキルを持っていない場合は、誤った作業を選択すると意図しない結果につながる可能性があります。

みなさんの作業にデジタルワーカーが必要かどうかを判断するためには、判断ベースではなくルールベースの決定に従う必要があります。結局のところ、デジタルワーカーはロボットでしかありません。みなさんの作業が反復的で、特に光学式文字認識(OCR)やドキュメントキャプチャによってデジタル化されている場合は、機は熟しています。

ステップ2:求人

新規雇用おめでとうございます! しかし、興奮しすぎないでください。彼らが落ち着く前に、いくつかのメンテナンス作業が必要です。デジタルワーカーの職務や仕事の重複を避けるようにしてください。そのためにはプロセスインテリジェンス技術をデプロイして、作業を分析し、自動化に最適な作業を特定しましょう。各作業に対する洞察を得られれば、自動化チームがROIの期待を明確に設定でき、自動化の努力が意図しない結果をもたらさないように、「ベースライン」状態で現在の作業を評価できるようになります。

ステップ3:トレーニングプロセス

増加する複雑なタスクをデジタルワーカーで処理するためには、人間の労働力と同様に、徹底したトレーニングが必要です。幸いなことに、デジタルワーカーにはスキルギャップがないため、適切なトレーニングを行うことでデジタルワーカーはすぐに効果を発揮し、価値を提供することができます。

デジタルワーカー向けの最も効果的なトレーニングには、自然言語処理(NLP)、OCRなどのコンテンツインテリジェンス技術、そしてデジタルワーカーに認知スキルを備えさせるその他の技術が含まれます。企業の要求が進化し、AI機能が拡大するにつれて、非構造化データを使用した作業や認知的推論が必要になる可能性のある作業デジタルワーカーがますます使用されていきます。

主な例は、請求書の自動化です。デジタルワーカーは、会社のERPシステムと少数の請求書についてトレーニングを受けています。請求書フォーム、データ、例外の処理方法の変化を監視・学習することにより、時間の経過とともにコンテンツIQが継続的に増加します。デジタルワーカーにコンテンツインテリジェンス技術を装備すると、非構造化コンテンツやデータを含むより複雑な作業を自動化することができます。

ステップ4:パフォーマンス評価

人間の労働者が定期的にパフォーマンス評価を受け取るように、デジタルワーカーのパフォーマンスも評価・改善することが重要です。これは、RPAプロジェクトが失敗する主な原因の1つです。ロボットが常に効果的に監視されておらず、実行が不十分な作業でスタックしているためです。悪い作業を自動化すれば悪いことがより早く起こります。

プロセスインテリジェンスを使用して自動化されたワークフローを監視することにより、RPAへの投資がデプロイ後に期待されたように機能するようになります。さらに、プロセス分析によって明確で定量化可能な実装後のコストの影響を計算することにより、経済的利益の約束が確実に実現できるようになります。これにより、将来の自動化イニシアチブのデータに裏打ちされた正当化が得られます。

ステップ5:ロボットの昇格

デジタルワーカーのパフォーマンスとコストへの好影響を証明することで、デジタルワーカーに「昇格」を与え、企業規模でデジタルワーカーを成長させることができます。ただし、数十個から数百個、さらには数百個から数千個のデジタルワーカーをスケールするためには、重要なコマンドと制御が必要であり、それにより、関係するすべての作業とビジネスシステムで自動化が同期されます。プロセスインテリジェンスは、ビジネスのすべてのオペレーションにわたり、デジタルワーカーが果たす役割を監視するための中心的な視点を提供します。

未来のデジタルワーカーは今より多くの推論と意思決定の責任を処理できるようになり、単純な自動化よりもはるかに先進的で成長するようになっているでしょう。IDCは、今日のロボットは組織内の推論や意思決定機能の約29%を監督しており、この割合は増加し続けると推定しています。この新しい種類の労働者のために今から準備しておくことが重要です。人間とロボットの両方を管理できるようになることは、次の大きなスキルの課題です。そして、今こそが学ぶべきタイミングです。

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このコラムを連載いただいている日商エレクトロニクスでは先駆者としてRPAの自社導入にも取り組んでおり、経営企画部、財務経理部、人事総務部の3部門でRPAをGRANDITE連携で導入し、ROI 590%と770万円のリターンを実現しています。そして成功事例の分析資料も以下のセミナーレポート内で公開しています。興味がある方は是非ダウンロードください。こちらにはガイドライン的なものも書かれています。

【レポート】ERP勉強会 次世代ERPに求められる条件
https://erp-jirei.jp/archives/1059

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