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鍋野敬一郎氏「ERP再生計画」第28回「外資系ベンダの新しいRPAがERPに蓄積されたデータ活用を加速する」

□はじめに

 2020年に入って東京オリンピックイヤーとなりましたが、日本を取り巻く状況は昨年までとは一転して不透明で見通し暗いニュースばかりです。米中貿易摩擦、イランと米国の対立による中東戦争懸念、英国のEU離脱(ブレグジット)、そして新型コロナウイルスの世界的拡散による経済活動停滞など、いずれも日本が巻き込まれるかたちで強い影響を受けています。こうした視界不良の状況で企業は、組織と社員を守るためリスクを回避しつつ成長し続けなければなりません。企業活動を支えるシステムは、守りと攻めの両方が求められます。つまり、老朽化したERPシステムでは攻めの仕組みが弱く、守りの仕組みも十分とは言えません。可能な範囲で刷新またはリニューアルが必要だと思います。さて、今回は最近脚光を浴びて急成長しているRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)について、最新RPAの動向とERPとの連携についてご紹介したいと思います。

■外資系ベンダが打ち出したインテリジェントなRPAとは?

 ERP最大手老舗ベンダSAP社は、SAP Cloud Platformの一部機能として提供される「SAP Intelligent RPA」という製品を昨年から市場投入しています。また、クラウド財務管理ベンダの米国ブラックライン社は、銀行やERPシステムなどから経理財務データをモダンファイナンスプラットフォームと呼ぶ自社クラウドに収集蓄積して、「コンティニュアスアカウンティング」というリアルタイム決算処理サービスを提供しています。いずれも、インテリジェントRPAという新しいRPA機能のサービスです。皆さんもよくご存知の通り、一般的にRPAの機能は作業者がコンピュータ上で行う作業(オペレーション)を学習させて作業を自働化することで省力化する仕組みです。会社の業務には、ルーティンワークに何度も同じオペレーションを繰り返す作業があるため、RPAの仕組みを上手く利用すれば処理作業はシステムが勝手にやってくれるのでRPAは「働き方改革」の実践ツールとして、労働時間短縮や残業代削減などの効果が期待出来ます。最近では、RPAの価格も安くなり使い勝手や機能がテンプレート化されて展開しやすくなったこともあり、大企業のみならず中堅中小企業でも幅広く使われるようになってきました。経理財務部門や購買調達部門など、月次や四半期毎で繰り返す処理(オペレーション)を行う部署では高い比率でRPAが導入されて、作業時間短縮や人件費削減に大きな効果をあげていると報告されています。

 このコラムにおいても、ERPとRPAの組合せは親和性も高く導入効果を分かりやすく把握出来るという話を紹介しました。また、RPAの次の段階(クラス2)では、RPAが進化して特定業務について機械学習させることで、状況に合わせて正しい選択を提案(または判断)することが可能になってきているという紹介をしました。この流れは変わりませんが、最新のRPA製品にインテリジェントRPAというものが出てきました。これは、ERPシステムやその他システムなどに蓄積されたデータを読み込んで、プラットフォーム上に蓄積したデータを機械学習して解析することで、正しい選択や判断を踏まえた処理が自動で可能となるというものです。これまでのRPAは、複数システムをまたがる処理をマクロ機能で自動処理するものです。デスクトップ型とサーバ型の違いはありますが、基本的に複数システムのオペレーションを手順に沿って自動処理する点は同じです。上手く処理出来ているときには良いのですが、1つのシステムやデータにエラーや変更があっても自動処理がそのまま実行されてしまいます。結果的に、コントロール出来ない野良RPAとなって無意味で間違った作業を勝手に繰り返すという自体が生じます。コントロール不能状態に気づいた後では、処理を全て取り消してRPAの設定からやり直すこととなります。RPAが幅広い業務に展開されるほど、こうした問題が広がってしまいます。

■インテリジェントRPAとオペレーショナルRPAの違いについて

インテリジェントRPAの特徴

 インテリジェントRPAとは、人の作業手順(オペレーション)を自働化するのではなくデータを主体にて自動処理する新しい考え方を一歩進めた自動処理機能を持つのがインテリジェントRPAです。従来のRPAでは、人間の作業をそのままなぞって複数システムごとに手順通り1つ1つ起動してデータを処理して作業するので、これを仮にオペレーショナルRPAと呼びます。これに対して、インテリジェントRAPでは、各システムのデータをプラットフォーム上に読み込んでそのデータを手順に沿って処理するという仕組みです。違っている点は、「プラットフォームにデータを読み込んでから、そのデータを手順に従って一気に処理する」という点です。SAPでは、ERPや他システムからSAP Cloud Platform にAPIを介してデータを書き込んでから自動処理します。ブラックラインも同様にERPやWeb、ExcelファイルなどからAPIを介してモダンファイナンスプラットフォームと呼ぶ自社のクラウド基盤にデータを読み込んで、データを自動処理します。APIを介しているため、なんらかの理由でエラーやシステムの変更があってもデータが正しく読み込まれていれば問題なく処理されます。また、データが正しく読み込まれていない場合には、アラートが出て処理は行われません。つまり、野良RPAのような暴走が起こる可能性は低いと考えられます。SAPでは、この仕組を業務処理ごとにテンプレート化したチャットボットとして利用しています。対象となるデータがERPのマッピングに沿ったデータテーブルにあるものを参照しているため、ファイナンスや調達、サプライチェーンといった業務処理ごとにデータを取り出してテンプレート化することが出来ます。現時点で既に12万以上のチャットボットが開発されていて、手作業のタスクのうち80~90%は自働化可能であるアナウンスされています。また、ブラックラインはファイナンス業務に特化したクラウドサービスを提供していますが、ブラックライン社のモダンファイナンスプラットフォーム上にデータを集めることで、突合処理やネッティング処理の自働化を行うことが可能です。

BlackLineのモダンファイナンスプラットフォームとは

 従来型RPAの処理が、1つ1つ行うオペレーショナルの自動処理(オペレーショナルRPAと仮称)であるのに対して、必要となるデータをプラットフォームに読み込んで一気通貫で自動処理するデータ駆動型の情報解析処理(インテリジェント)RPA(インテリジェントRPAと仮称)とイメージすることが出来ます。インテリジェントRPAの強みは、APIを介してデータを収集しているため野良RPAのようなシステムの暴走が生じにくいことと、収集蓄積したデータを一気に処理するのでオペレーショナルRPAのように1つ1つのオペレーション処理時間は必要なくより高速な処理が可能であること(設定を変更した再計算も簡単に可能)、業務ごとにチャットボットなどテンプレート化が簡単で展開しやすくROIが高いと思われます。また、ERPシステムの中で蓄積され、あまり活用されていなかったデータを有効活用する良いツールだと思います。実は、これに似た機能が国産クラウド会計システムのfreeeやマネーフォワードクラウドでAI機能として提供されています。今回紹介した製品に共通しているのは、クラウドのプラットフォーム上にデータを読み込んで自動処理しているところです。今後は、クラウドERPの普及が進むほど同様に国産クラウドERPでもこうしたインテリジェントRPAと連携する事例が増えていくことが予想されます。ERPとRPAは、担当者の作業時間短縮や効率化に貢献することから、連携するメリットや効果が今後さらに高くなると予想されます。

◆このコラムについて
ビジネスコンサルタント 吉政忠志氏(吉政創成株式会社)より

鍋野敬一郎氏の「ERP再生計画」第28 回「外資系ベンダの新しいRPAがERPに蓄積されたデータ活用を加速する」はいかがでしたでしょうか?あえて説明するまでもないのですが、RPAも買ってきただけではただの箱です。(実際は箱で買ってはこないですけど)RPAで投資対効果を上げるには業務知見とRPA活用・設定知見の両方が必要です。RPA普及期に入ってはいるものも業者によって経験がまちまちです。このコラムを掲載いただいている日商エレクトロニクスは自社のRPA導入も含む経験が豊富であり、商社とIT会社については特に、ERPとの連携のノウハウも高いです。商社とIT会社の皆様でRPAの導入を検討されている方は、是非、日商エレクトロニクスのコンサルタントにご相談ください。良い提案ができると思います。

資料ダウンロードと個別相談会のご案内

このコラムを連載いただいている日商エレクトロニクスでは先駆者としてRPAの自社導入にも取り組んでおり、経営企画部、財務経理部、人事総務部の3部門でRPAをGRANDITE連携で導入し、ROI 590%と770万円のリターンを実現しています。そして成功事例の分析資料も以下のセミナーレポート内で公開しています。興味がある方は是非ダウンロードください。こちらにはガイドライン的なものも書かれています。

【レポート】ERP勉強会 次世代ERPに求められる条件
https://erp-jirei.jp/archives/1059
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