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鍋野敬一郎氏「ERP再生計画」第16回「ERP+RPAで出来る働き方改革、ERP関連作業をRPAで大幅に減らす」

□はじめに

 企業向けのシステムで、市場規模は前年比較(2016年 vs 2017年)4.4倍に急拡大している製品があります。それが、最近話題のRPA(Robotics Process Automation、ロボティクス・プロセス・オートメーション)と呼ばれるシステムです。このシステムの仕組みをひと事で説明するならば、“Excelにあるマクロ機能が進化して、システム上のほぼ全ての操作が自動化出来るツール”という感じでしょうか。例えば、毎月月末にお客様ごとに受注内容をまとめてお取引レポートを作成するというような仕事があった場合、担当者は毎月明細が異なる同じフォームのお取引レポートを繰り返し作成することになります。取引明細はERPなど基幹システムから拾えますが、レポート形式なので手間と時間が掛かります。システム開発して自動化するほど重要な業務でもなく、派遣社員やアルバイトでも作成は出来ますが内容確認は担当者や責任者が行わなければなりません。こうしたオフィスで繰り返して行う作業こそ、RPAが威力を発揮する場面です。

■RPA導入のコツは、小さく入れて大きく広げる

 RPAの基本的な考え方は、PCで行う作業手順を覚えさせて、これを繰り返し自動的に行うという仕組みです。つまり、日常業務で繰り返して行うルーチンワークと呼ばれる業務がターゲットとなります。RPAには、PCにインストールして行うデスクトップ版と、サーバにインストールしてネットワークを介して複数システムに跨る処理を行うサーバ版の2つのタイプがあります。デスクトップ版は、単純で簡単な処理をする個人の業務を対象としています。サーバ版は、より複雑で複数システムに跨る複雑な業務を高速かつ正確に自動処理することが可能です。メジャーなRPA製品を簡単に図表でご紹介します。(図表1)機能と設定の難しさ(開発難易度)は、ほぼ相関するようです。RPAを導入すれば、手間が掛かるだけの作業を自動処理出来るため、オフィス業務の生産性アップや残業時間の短縮、人手不足の緩和が期待でいます。RPAは覚えた処理を繰り返すだけなので、作業結果の内容チェックは人間が行う必要があります。しかし、時短や省力化対策として即効性があるため”働き方改革”のニーズに合致したシステムとして、金融系企業や総合商社などを中心に爆発的に導入が色がっています。(図表2)

(図表1)

(図表2)

出所:ITR プレスリリース2018年10月25日(https://www.itr.co.jp/company/press/181025PR.html) 

記事:ZD Net Japan 記事より (https://japan.zdnet.com/article/35127754/

 国内で最も普及しているRPA製品は、NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)が開発した「WinActor(ウィンアクター)」(販売元NTTデータ)で、2018年10月現在で既に2,000社以上が導入しています。RPAの導入期間は、約1ヶ月~3ヶ月間と短期間で導入することが出来ます。「WinActor」はデスクトップ版のRPAですが、サーバやPC上にインストールされた「WinActor」を統制管理する「WinDirector(ウィンディレクター)が最近提供されサーバ版と組み合わせて利用出来ます。つまり、エラーや不具合などで動作が止まったり、管理者不在で暴走したりする(野良ロボットと呼ぶそうです)RPAをモニタリングすることが出来るようです。さながら、放牧された羊を追う牧羊犬のような存在でしょうか。

■ERP+RPAのコツは、RPAで時短して人が確認するスタイル

 RPAと相性が良いシステムが、ERPなど基幹系システムです。ご存知の通りERPの機能は、会計処理や販売管理、購買管理といった繰り返し行う業務だらけです。ERP上で処理される大半の業務は、その一部や大部分をRPAと連携して自動化/半自動化することが可能です。また、ERPと連携するツールで最も多いのはExcelやWordといったMS-Officeやメールなどで、RPAはこうしたシステム間の連携に強みを発揮することが出来ます。RPAは、製品によってそれぞれ出自が異なり、マイクロソフト社出身のダニエル・ダインズ氏が設立したUiPath社(ユーアイパス)は、MS-OfficeやWebに強く、金融系や医療系に強いBluePrism社(ブループリズム)はセキュリティ機能に強いといった特徴があります。RPAごとに、得意とする業務内容や業種による強み弱みがあるため複数のRPAを用途に合わせて使い分けるのが賢い使い方です。急激に市場拡大していることから、製品の種類と進化が爆発的に広がっています。現時点で優れていても、あっという間にトップが入れ替わります。弱点だった機能から改善されて、1年後には強みに変わっているという状況です。発展著しいRPA市場ですから、常に動向をチェックしておくことと、状況判断で製品を次々試して乗り換えるのが賢い選択でしょう。

 RPAの導入については、前述した通り定期的に繰り返して行うルーチンワークを対象とするため、ERPに関わる関連作業を導入対象として選ぶケースが多いようです。経理業務ならば「伝票の記帳」、「従業員の経費チェック」、「支払伝票の起票」などがRPAの自動処理が強みを発揮し、RPAが処理した結果の内容確認や承認を人間が行います。これにより、人間が行う作業時間を確実に減らすことが出来ます。この削減できた作業時間が、導入効果となります。RPA導入のコツは、モデルケースを1つ作ってRPAによる導入効果を定量的/定性的に評価してから、幅広く展開することです。考えるよりも、まず触ってみることをオススメします。試用することも出来ますが、筆者はRPA製品を最小構成で1つ購入することを勧めます。試用では導入効果が出る前に試用期間が終わってしまうことと、最小セットでもユーザー企業ですから、ベンダに他ユーザー訪問や使い方のコツを徹底的に聞くことが出来ます。RPAの導入費用はそれほど高額ではないので、筆者のような外部コンサルを雇って検討したり調査したりするよりも、早く安く元が取れるような気がします。RPAは、考えるより即買いが正しいと思います。

会社の業務には、必ず繰り返して行うルーチンワークがありますから、全ての部門でまず使って貰うところから始めます。始めはベンダやコンサル支援による導入を行い、エンドユーザーにRPAを見て触ってもらう状況を作ります。簡単なツールなので、失敗はまずありません。(上手く効果が出ない場合は、別の業務でやり直すと大抵上手く行きます)モデルケース導入から、IT部門とユーザー部門の選抜メンバーでRPA導入タスクチームを育成します。全社各部門へ展開するときには、このタスクチームがRPA導入を行います。部門によっては、こうしたシステム作業に長けた人材も居ますが、その人に任せてしまうと本来の業務が滞ったりExcelマクロのように属人化したりするリスクもあるためタスクチームを置く方が良いでしょう。

 IT部門の役割は、RPAを全社各部門へ展開するだけではありません。RPAは急激に市場拡大しているため、新しい製品や機能強化、価格競争が激化しています。したがって、こうしたベンダ動向をしっかりモニターしておくことで、コストを抑えながら継続的に高い効果を狙うことが出来ます。また、全社にRPAの展開が一巡したところで、RPAの効果をさらにステップアップするために属人化している業務プロセスの見直しとRPA再設定による更なる生産性向上を狙う準備をすることが出来ます。PC上の作業は属人化の温床ですから、RPAの導入内容から属人化している業務を特定することが出来ます。これが、業務プロセス標準化の足掛かりとなります。

 今回は、RPAの市場動向やERPと組み合わせて利用した場合の効果について簡単にご紹介しました。また、RPAを導入するコツとしてタスクチームによる全社各部門展開のススメ方とIT部門が担う役割について説明しました。次回は、RPAの最新動向とRPAの強みが生かせる業務についてご説明いたします。

◆このコラムについて
ビジネスコンサルタント 吉政忠志氏(吉政創成株式会社)より

鍋野敬一郎氏の「ERP再生計画」第16回「ERP+RPAで出来る働き方改革、ERP関連作業をRPAで大幅に減らす」はいかがでしたでしょうか?このコラムを掲載いただいている日商エレクトロニクスでは、自社で「ERP+RPA」を実施しており、その成果も調査データと合わせて公開しています。興味がある方は以下をご覧の上、資料をダウンロードください。

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