RPA海外動向コラム「コンテンツインテリジェンスによるロボットのスマート化」

こんにちは-。野田貴子です。今回から連載を始めました、このコラムはRPAに関する海外動向で面白そうなコラムを委託してお届けします。興味がある方はご覧ください。今回はRPAで知られるABBYYのお話です。

「コンテンツインテリジェンスによるロボットのスマート化」

8月初旬、ABBYYはシカゴで[Intelligent Automation Week]に参加し、ロボットによる業務の自動化(RPA)とコンテンツインテリジェンスに関する円卓討論の進行役をこなしてきました。RPAを用いてコンテンツベースの業務を自動化するさまざまな手法について40人以上の人々と議論を行うことができました。その内容は、基本的なRPAに対して非構造化ドキュメントやデータの処理の高度な自動化へのニーズが高まっている現状から、非構造化コンテンツの処理における人工知能(AI)の役割を理解することまで及びました。

この議論から、現在RPAの運用やスケールアップを行っている組織が、非構造化コンテンツなどの自動化したい処理を見いだしていることが明らかになりました。RPAは反復的に構造化された作業の自動化には適していますが、非構造化ドキュメントやデータから実用的な情報を抽出する水準には達していません。業務の自動化を実現するためには、ロボットがコンテンツを理解する能力を備えて、必要な作業を実行できるようにする必要があります。

この会議の重要なポイントは5つあります。

1. 非構造化コンテンツの処理に対する需要

会議に参加した人の多くは、非構造化コンテンツの処理に関する課題が最優先事項でした。当初、RPAソフトウェアロボットはインテリジェントではなく、高度なスキルを扱うために必要な機敏さや、ドキュメントを特定しその中のデータを探し出し抽出するような標準化されていない対話機能が欠けていると考えられていました。

RPAの市場は成熟しており、さまざまな組織によるRPAの導入事例が数多くあります。このため、簡単なルールに基づいた作業以上のことを自動化することを目標とする、インテリジェントな文字認識(ICR)や、非構造化ドキュメントの識別、データの検索や抽出、テキストの文脈理解といった高度なコグニティブスキルを用いた高度な自動化に対するニーズに関心が集まりました。

2. エンタープライズ全体にわたるドキュメント自動化のユースケース

参加者との会話では、RPAへの取り組みにおいてインテリジェントなドキュメント自動化のどの部分に重点を置いているのかが語られました。納品書、請求書、発注書、受注書といった財務関連の業務を中心にこれらの議論の多くが展開されていることは驚くべきことではありません。多数のユーザーがこのビジネスエリアからRPAに取り組み始めています。加えて、コスト削減や生産性の大幅な向上によってビジネス上の利益がかなり大きくなる可能性があるため、RPAを始めるには良いポイントと言えるでしょう。

しかし、銀行業のような重要産業で人間が介入することなく業務を進めるためには、ドキュメントを識別して関連するデータを抽出するためのインテリジェンスな機能の追加がロボットに必要となる例が多々あります。

多くの参加者によると、組織が自動化しようとする業務の大部分に第三者からのコンテンツが含まれており、データの構造やフォーマットを制御することができません。たとえば、大規模ユーザーは数千ものベンダーからの受注を自動化しているかもしれませんが、大多数を占める小規模ユーザーはおそらく、PDFや画像、あるいは電子メールの文章で注文を受けているでしょう。

3. 単なるOCRではないオートメーション

今やRPAのユーザーは、ドキュメント処理の自動化とは単に光学式文字認識(OCR)を使用することではないと理解し始めています。OCRはフォームや非構造化ドキュメントに含まれるデータを認識するために重要ですが、ドキュメントや画像、テキストに関連するデジタル化の第一段階にすぎません。

ユーザーが求める真の価値は、ドキュメントや画像に適用できる次世代のインテリジェンスにあります。そこでは構造化ドキュメントも非構造化ドキュメントも識別され、そのドキュメントに含まれるテキストが高い信頼度で抽出され、RPAの処理にそのまま引き渡せるようになります。非構造化コンテンツを構造化された実行可能な情報に変換することで、ロボットは自分のタスクを実行することができるようになります。

4. RPAとAIとの出会い

現在、RPAのユーザーはRPAだけでは解決できない現実世界のユースケースを明らかにしつつあります。これらのユースケースでは、非構造化ドキュメント、画像、テキストから情報を抽出することに、ほとんどの企業が苦労しています。この種類のコグニティブオートメーションでは、機械学習やテキスト分析などの技術を用いて関連するデータを識別・抽出し、かつ、その情報を理解する必要があります。一歩進むとこれは、何千ものバリエーションを持つ非構造化ドキュメントのセットを学習する機械学習を適用し、システムが時間の経過とともに学習し自己改善する自動化された方法で実行されることになります。

コグニティブオートメーションにより、ロボットは電子メール、財務表、契約書、あるいはほかの種類の非構造化ドキュメントを処理し、抽出や何かしらの作業が必要なデータを保持できます。この次世代のコンテンツセットに真に取り組むためには、技術が進歩し、設計やデプロイがより容易になる必要があります。

5. 教育の継続

過去3年間、私は多くのRPAのイベントに参加しましたが、今の議論は3年前よりはるかに進歩しています。しかし、私たちにはまだ教育面で長い道のりがあります。基礎となる技術に関する議論も重要ですが、私たちが解決しようとしているビジネス上の問題も同様に重要です。どの組織においても、現在すでに解決策がある次の段階のインテリジェントオートメーションを活用できる多くのプロジェクトが見つかることでしょう。

※本コラムは「Making Robots Smarter with Content Intelligence」を独自の見解で意訳したものであり、原作者の意図を完全に表したものではありません。予めご了承ください。

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このコラムを連載いただいている日商エレクトロニクスでは先駆者としてRPAの自社導入にも取り組んでおり、経営企画部、財務経理部、人事総務部の3部門でRPAをGRANDITE連携で導入し、ROI 590%と770万円のリターンを実現しています。そして成功事例の分析資料も以下のセミナーレポート内で公開しています。興味がある方は是非ダウンロードください。こちらにはガイドライン的なものも書かれています。

【レポート】ERP勉強会 次世代ERPに求められる条件
https://erp-jirei.jp/archives/1059

執筆協力:吉政忠志

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