「レガシーERP」からの脱却~第2回 RPA導入についての期待と現実~(GRANDIT株式会社 マーケティング室 室長 高橋昇氏)

第1回のコラムでもご紹介したとおり、昨年から本格導入が進んでいるRPA(Robotic Process Automation)は、ホワイトカラーの生産性向上や働き方改革を支援するツールとして注目されており、多くの企業が RPA の導入検討を進めています。
2017年の調査によると、国内では14.1%の企業が導入済み、6.3%が導入中、19.1%が導入を検討中でした。市場規模は2017年度が31億円、2021年度には100億円規模になると予測されています。(出典:「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」(総務省)http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html
RPAは人間が実施していた画面上のアプリケーションの操作を、事前に設定された手順に従ってソフトウェアのロボットが代替するもので、「入力ミス防止」、「コスト削減」、「現場の負担軽減」など期待される効果も様々です。自動化したい業務領域についても「ERP周辺業務」、「ERP周辺以外の業務」など広範囲での活用が期待されています。

図1 自動化したい業務領域

しかし、実際には全てのRPA 導入プロジェクトがうまく行っているとは言えず、様々な問題を抱えているプロジェクトも見受けられます。
では、実際にうまく行っていないプロジェクトの実態はどんなものなのか?何が問題になっているのか?その多くは、RPAツールについての誤解からくるものが多いようです。今回の第2回コラムでは、RPAツールについての誤解から生じる問題点をいくつかのケースに分けてご紹介したいと思います。

■ケース1:RPAは魔法のツールか?

お客様から多くのRPAの引き合いのお話をいただきますが、多くの方はRPAを「どんな業務でも自動化できる魔法のツール」というイメージで捉えられていらっしゃるようです。
RPA は仮想労働者と呼ばれるように、人の業務を代行してくれるソフトウェア・ロボットです。そしてその主な機能は、様々な業務アプリケーションの操作を人間に変わって行うことであり、自分自身で判断してデータを処理したりすることはあまり得意ではありません。
また、一般的なシステム開発と違って、複雑な処理パターンを定義して処理することはあまり得意ではないので、従来のシステム開発と同じ感覚でRPAを開発すると問題が発生することが多くなります。

■ケース2:RPAでExcelを置き換えることができるのか?

現場でRPAによる業務の自動化シナリオを検討すると、現在Excelシートで作成しているデータ加工(集計、グラフ化)処理が候補にあがってきます。現状、手作業で行っている業務で業務負荷の高いものを中心に選定するので、このような結果になるのは十分想像できます。
しかし、RPA は Excel のマクロを動かしたり、簡単なExcel上のデータ操作を行うことは出来ますが、マクロと同じようにデータを加工処理したりグラフ作成などExcelの持っている豊富な機能を代替えするような機能は持ち合わせていませんので、このような処理をRPAで置き換えようとして開発すると処理内容が複雑になり失敗しがちです。

■ケース3:RPAツールだけを習得すれば、誰でも簡単に自動化ができるのか?

RPA が実現できることは、人がやっている業務の代行で、基本的には人の手足の動きを模倣することです。
元々、操作対象アプリケーションのUIは人が直接操作することを前提に設計されているのでRPAのようなソフトウェア・ロボットで操作することは考慮されていません。
最近はほとんど目にする機会は無くなりましたが、昔ブラウン管テレビの画面を写真に写すと真っ黒な画面になってしまったと思います。ブラウン管テレビは裏側から電子銃でブラウン管に電子を照射することで画面を光らせていますが、実際は一点だけが光っていて人は残像として画面上の映像を見ています。
このように人と違い機械の処理速度で様々なアプリケーションを操作し、表示される前にボタンを押したり、一見同じ形式のボタンに見えても制御する方法が違うなどといった様々な問題に直面することがあります。
特に単純に操作を記録し再生し続けることが可能なレコーディングツール的なRPAツールの場合、このような問題への対応が難しくなります。

図2  RPA導入についての期待と現実

問題点のお話ばかりすると、RPAが使えないのではと思われてしまうかも知れませんがそんなことはありませんので誤解のないように。

RPAで自動化を考えるときに、操作するツールや業務システムの機能や特徴を良く理解した上で、何を既存のシステムに任せて、どの部分をRPAで自動化すべきかを検討すること。そして必ずしも人が手作業でやっている操作をそのまま自動化することがRPAにとって最適な自動化シナリオではないことを念頭において自動化を進めていただければいいと思います。

次回のコラムではRPA編の最終回として、特に今後への期待という部分にフォーカスしてご説明したいと思いますのでどうぞご期待ください。

高橋 昇 プロフィール
GRANDIT株式会社 マーケティング室 室長
1985年 総合商社系情報システム会社(現インフォコム株式会社)へ入社
商社向けシステム開発部門に所属し、繊維・化学品・食品関係などのシステム開発やC/S・WEBシステム、ミドルウェアなどのアーキテクチャー選定・導入を担当
2003年10月 インフォベック株式会社(現GRANDIT株式会社)にて、次世代ERPコンソーシアムによるERP「GRANDIT」の開発に立ち上げ当初より参画。
パートナー営業・製品開発の責任者としてERPシステムの提案活動・導入支援に従事。
2018年よりマーケティング室 室長として、営業・製品開発をあわせたマーケティング施策の企画立案とプロモーション全般の責任者を担当。

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