「レガシーERP」からの脱却(GRANDIT株式会社 マーケティング室 室長 高橋昇氏)

はじめに

弊社オフィスのある渋谷区原宿近辺では、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた施設の建設が着々と進み、デザイン決定までは紆余曲折のあった「新国立競技場」も徐々に外観が出来上がりつつあります。

「レガシー」という言葉は、オリンピック・パラリンピックでは大会終了後の後世の残す、有形無形の社会的遺産と捉えられています。

一方、ITの世界では「レガシー」という言葉は負のイメージで捉えられています。

システムを長く利用している間に機能の追加や変更を繰り返すことでプログラムが増改築を繰り返した家のような状態になり必要な処理は動くものの処理速度が遅くなったり新たな機能追加を行うのに多大なコストが掛かるようになりがちな状態を指しています。

日本国内でERPが導入されるようになったのは1990年代前半。20年以上が経過し、当初導入されたERPの多くが負のイメージで「レガシーERP」と呼ばれるようになってきました。

本コラムでは、ドッグイヤーといわれるように早いペースで技術革新が進むIT業界において、ERPを「負のレガシー」から脱却させるための方策について考えてみたいと思います。

その最初のテーマとしては「RPA(Robotic Process Automation)への期待と現実」といったタイトルで最近話題になっている「RPA」をテーマに取り上げてみたいと思いますので最終まで、どうぞお付き合いください。

 

■ERPとRPA?

ERPベンダーの人間がRPAについてご紹介すると違和感を持たれることが多いですがERP導入により全社レベルの経営課題が解決しても現場レベルの課題はなかなか解決しないとの声をお聞きすることがあります。

その理由の一つは、「システム化の優先度」の考え方にあると思います。

以下の図は「システム化の優先度」についてのイメージをまとめたものですが、多くの場合利用者や業務量の多さなどの指標で評価を行い、システム化の優先度が設定されるので自然と現場で行われているERP入力前に行う情報収集などの前処理は先送りされることが多いようです。結果として先送りされた業務は“次の機会”も先送りされて、今でも人間が行う業務として残っているのではないでしょうか?

 

■デジタル化技術とERPの融合

個人的にはこういった課題解決にRPAのような新しい技術が役立ち、「ERP×RPA」といった形で両社を融合させることで、さらなる生産性向上を実現できると考えています。

以下の図は、「ERP×RPA」による業務の自動化やカバー範囲拡大のイメージを整理したものです。

このように従来のERPではカバーが難しかったERP利用の前処理や後処理。そしてますます利用が拡大しているクラウドなどで提供される様々なサービスの連携といった領域まで自動化範囲を拡大することにより、デジタル化時代に向けた企業の成長に寄与できると考えています。

 

最近、お客様にRPAをご紹介する機会が増え、RPAに関する様々なご意見をお聞きすることが多くなりました。以下はお客様のRPAに対する期待や疑問の声を簡単に分類したものです。

 

(RPAに関する声)

1.RPAに期待する効果

2.実際に希望する自動化したい業務

3.RPA製品の機能と特徴

4.RPAによる自動化に失敗しないための勘所

5.RPA(導入後)の課題と今後への期待

 

次回以降のコラムでは、こういった実際に先行してRPAの評価を進めているお客様の「RPA導入についての期待と現実」ついての声をもとに期待感や現実的な課題を整理してご紹介したいと思いますので、どうぞご期待ください。

 

高橋 昇 プロフィール

GRANDIT株式会社 マーケティング室 室長

1985年 総合商社系情報システム会社(現インフォコム株式会社)へ入社

商社向けシステム開発部門に所属し、繊維・化学品・食品関係などのシステム開発やC/S・WEBシステム、ミドルウェアなどのアーキテクチャー選定・導入を担当

2003年10月 インフォベック株式会社(現GRANDIT株式会社)にて、次世代ERPコンソーシアムによるERP「GRANDIT」の開発に立ち上げ当初より参画。

パートナー営業・製品開発の責任者としてERPシステムの提案活動・導入支援に従事。

2018年よりマーケティング室 室長として、営業・製品開発をあわせたマーケティング施策の企画立案とプロモーション全般の責任者を担当。
GRANDIT公式サイトはこちら

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