ユーザー企業はAIとERPをどのように使いこなせば良いのか

業界トップランナーである鍋野敬一郎氏のコラム「ERP再生計画」第9回「ユーザー企業はAIとERPをどのように使いこなせば良いのか」を公開しました。

目次

□はじめに

最近のテクノロジーの進歩が早すぎて、驚きに目を見張るものがあります。

やっとスマートフォンやタブレットに馴染んできたところですが、企業システムもオンプレミスからクラウドへ、あらゆるモノにセンサーやチップが搭載されネットワーク化されてIoT対応となり、さらにそこから収集されたデータがRPA、AIで即時処理される時代に突入しています。今回はユーザー企業がAIとERPをどのように使いこなせば良いかについて考えてみたいと思います。

■AIとERPをどこから導入すれば良いのか?

ERPは既に多くの企業で導入されていますが、ビジネス環境の急激な変化に対応して再生構築を検討する企業が増えています。また、クラウドやAIといった新しいテクノロジーを積極的に導入したいと考えている企業は多いようですが事例も少なく失敗するリスクを考えて様子見しているように思います。クラウドについては、AWSやマイクロソフトのAzure、セールスフォースなど既に企業でも一般的に利用されていますが、IoTとAIについては事例も少なく経験のあるベンダがほとんど居ないという状況です。筆者は、IBM Watsonについては一度システム構築に関わっていることもあって、概ね仕組みのイメージや活用のポイントを掴むことが出来たと思います。今後のことを考えて、できるだけ早いうちに一度試しておくことを強くお勧めします。

さて本コラムでは、ERPシステムとAIを連携して活用するケースについてお話したいと思います。前回も説明した通り現状のAIは機能特化型人工知能が実用化に近く、現実のAI機能は画像認識、音声認識、対話応答、数値解析などに分かれています。日々進歩しているのは、画像認識を利用した自動運転自動車の開発ですが、この機能とERPシステムを連携するのはシナリオ的に無理があると思います。AI活用のポイントは、膨大なデータを解析してこれをベースに通常とは違ったエラーを見つけたり、データにパターンや傾向を見つけて予測したりすることです。この処理を繰り返すことで、さらに分析や予測の精度が高まる仕組みです。つまり、ERPとAIを連携して活用するためには、ERPのデータベースに大量に蓄積された精度の高いデータを生かすシナリオを考えれば良いでしょう。既に検討されているシナリオとしては、膨大な会計処理のなかから作業ミスを見つけ出すことや、不正な処理を見つけ出して職務規定違反や犯罪を未然に防ぐと言った業務などがあります。また、工場の設備管理やお客様へ販売した製品のメンテナンス業務やアフターサービスといった業務がある製造業やこれを代行する商社・卸売業は、設備の稼働データや履歴情報を集めて、そこから設備の故障を未然に防ぐことが可能です。さらに、原材料の調達管理業務において、蓄積した過去の調達データから原材料の値上げや不測を予測して仕入コストの低減と欠品リスクの回避に使えると思います。こうしたシナリオは、業種やサプライチェーンの違いが大きいので見過ごされがちなのですが、しっかりデータは蓄積されているのでAI機能を活用する効果は大きいと思われます。

1 2 3
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次