ERP業界トップランナーの鍋野敬一郎氏によるコラム「ERP再生計画」第47回:混乱が続く経済にクラウドERPが有効な理由と新しいERPの新常識(その2)クラウドERPを軸にクラウド基盤上に統合データベース構築、業務処理をスピード化/省人化する

目次

□はじめに

 これまで絶好調だった北米の景気に陰りが見えてきました。また、中国市場もゼロコロナによって大手ネット企業や通販企業の業績が伸び悩んでいます。日本を除く多くの国でコロナ禍の終息を見越して、政策金利を上げたことにより日本は超円安となりました。このままの状況が続けば、年末には1ドルが150円となりかねない危機感を抱く金融機関もあります。その理由は、日本の金利ゼロで円を借りてこれで米国債のドルを購入すると金利格差でリスク無く金利差分の利益が出るためです。既に輸入商品を扱う商社・卸売業は、仕入れ価格の高騰に頭を悩ませています。また、通常だと円安になると儲かる製造業など輸出産業も、半導体不足やエネルギー価格高騰によって自動車や機械の生産が計画通り進まず。大量の注文を抱えていても製品を作れない、出荷出来ない状況になっています。こうした景気の見通しがさらに不安定な状況で、クラウドERPシステムへのリプレースが加速しています。

■クラウドERPの共通マスタと標準業務プロセスを軸にしたクラウド基盤データ統合

 多くの企業が、コロナ禍の終息を見越して成長戦略を模索しています。しかし、現状はこれまでのやり方では通用しない激動の状況にあります。これまでの知識と経験を活かして、目まぐるしく変化する状況に即応できる機動力と情報を裏付けといた予測精度が活路を開くことになります。コロナ禍で行動を控えていた企業が、満を持して攻めの体制を整えつつあります。その要となるのが、基幹システムERPの刷新とクラウド基盤への移行です。具体的には、レガシー化した会計メインのオンプレミスERPを、財務会計、管理会計に加えて販売管理、購買管理、在庫管理、物流管理などロジスティクス系機能をスコープとしたクラウドERPへの乗り換えです。これは、クラウドERPをモノサシとして業務プロセス標準化とマスタ統合を狙ったものです。個別開発によるこだわりや独自機能は、クラウドERPの外にクラウド基盤を置いてここにアプリケーションを構築して実現しています。これによって、ERPをアドオン・カスタマイズしなくても標準ERPでは足りない機能を補完できるようになりました。また、クラウドERPをノンカスタマイズで利用することで、その維持コストや運用リソースを減らせるとともにクラウドERP部分のみ外部委託(AMO:アプリケション・マネジメント・アウトソーシング)することが可能となりました。これは、IT部門の役割を基幹システムの維持管理からDXや事業支援システムへシフトチェンジしようと狙った動きです。さらに、最近先行する企業が取り組んでいるのは、社内システムおよびその周辺データを全てクラウド基盤上に乗せるデータレイク構築とその活用です。これと並行して、クラウドERPシステムへの乗り換えに合わせて、業務処理のスピード化/省人化に取り組む企業が増えています。これは、煩雑でオペレーションが難しいERPシステムのデータ入力やチェック作業をRPAやAI-OCRなどツールを利用したものです。これまでは大企業が取り組んでいたソリューションですが、RPAやAI-OCRなどの価格が安くなったことで手軽に利用するユーザー企業が増えています。

(図表1,2022年、日本企業が直面する7つの脅威)

■クラウドで「見積、受注、発注」処理をスピード化/省人化するデジタル

例えば商社・卸の業務課題には、お客様からの見積対応、注文の受注処理、商品の手配発注などが膨大かつ煩雑なことが良くあげられます。取扱商品や取引先によっては、日々1000件以上、毎週万単位の伝票処理を行う必要があります。こうした取引の大半は、過去にあった注文の繰り返しや数量のみ変更された内容です。つまり、前月と今月で同じ内容の注文処理が繰り返されることも多く、金額や単価や数量のみ変動するケースが多く注文の入力作業やチェック作業は慣れている担当者でも神経を使う作業です。さらに、サプライチェーンにトラブルが生じて輸送手段や配送ルートが変更されると、商品の所在把握やお客様への対応に大きな時間を割かれることになります。忙しい日常業務に加えて、さらにトラブル対処に奔走することとなります。昨今お客様からの要望が多様化していて、納期前倒しや分納など手間の掛かる対応も日常茶飯事となっています。こうした手間の掛かる対応でも、追加料金を得ることも出来ず負担が増えています。

 このような「見積、受注、発注」など一連の処理は、商社・卸における日常的なルーチンワークですが、その業務が滞る原因は通常処理ではない対応や例外、トラブル対応などによるケースが大きな割合を占めています。また、1つの業務処理から次の処理へ進む場合、担当する部門や担当が異なるところで処理の滞留やミスやエラーなどが生じます。業務処理のカイゼンポイントは2つあります。1つ目は通常処理のスピード化、2つ目は部門間や担当間を跨がる処理の自動化です。この一連の業務処理をクラウドERPとクラウド基盤上で統合したデータで、一気通貫に処理するところがクラウド基盤による統合データ活用戦略となります。これまでのオンプレミスERPと他システムを点と点でつなぐだけのRPAではなく、全てのデータをクラウド基盤上に統合データとして一元管理します。さらにクラウドERPの標準機能だけのシンプルな業務プロセスと共通マスタを軸として、一連の業務処理に関係するデータを全て統合します。これによって、必要な情報は全てクラウド基盤上に揃っています。つまり、エラーやトラブルで業務処理が止まるのは、例外処理や想定外の処理やデータがある場合のみです。人が個別対応するのは、このエラーやトラブルをメインとすれば、大半の業務処理はスピード化/省人化することが出来ます。

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