鍋野敬一郎氏「商社・卸売業向けクラウドERP導入のポイント、IaaS型とSaaS型の使い分けとデジタルレイバーによる省人・省力化!」

□はじめに

 新型コロナウイルスによる経済活動への悪影響が、次第に顕在化しています。企業の4月-6月期の業績は、緊急事態宣言による活動自粛によって軒並み減収減益となり好調だった前年と大きく様相が変わりました。サプライチェーンが分断されて、生産が止まった自動車や機械はさらに工場の操業停止という状況となり業績が悪化しました。自粛が解除された6月以降は、生産活動が再会されて次第に回復しつつありますが新型コロナウイルスの第二波、第三波が予想されて感染拡大による影響が今後も続くと予想されます。商社や卸売業は、景気が不透明なことよる需要の減退が次第に業績に現れてきました。また、政府から感染対策としてリモートワークが推奨されていることから、新しいワークスタイルに合わせた業務のやり方やシステムの見直しが必要となっています。ERPは、その中心となるシステムであり、ウイズコロナ、アフターコロナ対策としてまずここから見直しを行う必要があります。

■商社・卸売業の業務をリモートワークに移行するポイントとは

 商社や卸売業の従来業務は、商品の仕入れ、入出庫管理、在庫管理、物流管理、販売管理および債権債務管理(請求、回収など)などが主要業務です、この業界の特徴は、ほぼ全ての業務が文書の処理にあるということです。そして、社内外との煩雑なやり取りが生じるため、紙による処理が多いことが特徴です。ここ最近では、ERPとワークフローシステムの導入によって社内の情報はデータ化されつつありますが、大手総合商社でもほぼ全ての業務に紙やハンコが必要です。また、社外とのやり取りは紙やメールなどでのやり取りが全てとなり、見積りから契約、出荷、請求に至る全ての業務に文書(紙とハンコ)が必要となります。つまり、会社に行って文書とシステムに触らないと業務を勧めることが出来ません。文書は各業務でフォーマットが決まっているため、内容はパターン化されていますが、入出庫処理、在庫管理、出荷指示、請求処理など全てシステムへのデータ入力が必要となり、複数のシステムにまたがった煩雑な業務が生じます。

 商社・卸売業の業務をリモートワークに対応させるためには、「①紙の文書のデータ化」、「②必要なデータを各システムへ入力」、「③例外処理の対応とその内容の確認作業」の3つの対応が必要となります。これまでは、各業務でそれぞれ担当者が対応していました。一連の業務処理はERPで処理できますが、そのためには「①紙の文書のデータ化」からはじめる必要があります。有効な手段は、AI人工知能を搭載した文字認識システム(AI-OCR)によるデジタル化です。日本語の手書き文字認識は難しいのですが、最近は複数のAI-OCRを組み合せたり、文書フォーマットに合わせて文書作成してデータ送付(PDFファイル)することで文字の識字率を高めたり、することが可能です。次に、「②必要なデータを各システムへ入力」ですが、これはRPAで対処することが可能です。少し前のRPA導入では、煩雑な繰り返し作業を担当者ごとにRPAで自動処理化するというやり方(デスクトップ型)でしたが、最近では一連の処理をテンプレート化して、担当者ごとに異なるところだけを手直ししたり、お客様要件で異なる処理だけを変更したりして大量高速対処するやり方(サーバ型)へ発展しています。こうした取り組みによって、ERPにAI-OCRとRPAを組合せた連携ソリューションが普及してきています。パターン化された業務ならば、こうした仕組みを導入すれば、業務処理がある程度自動化できます。自動化できない業務は、「③例外処理の対応とその内容の確認作業」です。皆様もご存知の通り、商社や卸売業の商慣習は商流やお客様ごとで異なるケースがあります。そのため、その違いをきめ細かくシステム化するのは費用対効果から難しく、人による対応が効率的かつコストも抑える事が出来ます。つまり、リモートワークにおいて「③例外処理の対応とその内容の確認作業」を行うことができれば、ウイズコロナ・アフターコロナ時代にも概ね対応出来ると言えます。

 ERPとAI-OCRとRPAの連携ソリューションは、一般的に自動化ツールを利用してホワイトカラー(主にデスクワークを行う労働者)を仮想化したロボットの労働力として利用するデジタルレイバーの進化系だと言えます。さらに、RPAはAI機械学習機能と連携して、過去に同様の処理があったケースを参照して、状況判断で簡単な条件分岐(正しいと思われる処理を提案してくれる)の判断を自動化出来る機能を搭載しつつあります。これによって、繰り返し作業を単純時自動化(マクロ処理化)して業務時間を短縮するだけの機能から、複数システムにまたがった進化系デジタルレイバー(半自動化ロボット)として活躍することが期待できます。

引用:https://news.mynavi.jp/article/20200722-1169042/

※参考:デジタルレイバーとは?

https://www.nissho-ele.co.jp/solution/digital_labor/index.html

■IaaS型とSaaS型による違いは、事業展開のスピードと市場変化によって異なる

 クラウドERPには、IaaS型とSaaS型があるのはご存知の通りですが、進化系デジタルレイバーを導入する時に留意すべきポイントについてご説明したいと思います。

 IaaS型とは、ERPのライセンスを購入して従来のオンプレミス同様に独自機能や他システムとの接続インターフェースを開発して、その稼働環境をクラウド基盤(プライベートクラウド、パブリッククラウドなど)にするというやり方です。安定性と独自性を兼ね備えたERPシステムを構築することが出来ます。AI-OCRやRPAとの連携もきめ細かく対応することが出来ます。これに対して、SaaS型ERPの場合には年に数回のバージョンアップがあるため、これに対応した調整が都度必要となります。つまり、受注処理や請求処理といった社外とのやり取りを行う機能やデータテーブルなどが変更担った場合には、これに合わせてAI-OCRやRPAも調整対応しなければなりません。つまり、アップデート毎にその作業を繰り返すことになります。大きな機能アップデートが会った場合には、調整程度ではなく、改修作業が生じるケースもありますからあらかじめそのリスクを考慮しておく必要があります。こうした対応する技術者が社内に居る場合には、IaaS型、SaaS型どちらでも問題ありませんが、技術者が社外のベンダーだとSaaS型でアップデートに即応できないと業務に支障が出る可能性があります。商社・卸売業のケースだと、業務への影響はお客様との信頼関係や売上に影響しますから、事前にこうしたリスクを考慮した心構えをしておくと良いでしょう。

 政府からリモートワーク率を70%に引き上げるよう要請が出ています。

 ウイズコロナ・アフターコロナ時代がニューノーマルとなったことを踏まえて、ERP再掲計画もこれに対応した柔軟かつスピーディーな対応が求められます。こうした要件に対して即効性のあるソリューションのひとつが、今回ご紹介したクラウドERPとRPA+AI-OCRの連携ソリューションによるデジタルレイバーです。

以上

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