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DXへの取り組みとERPのクラウド化(GRANDIT 高橋昇氏の「レガシーERP」からの脱却第13回)

■ユーザー企業におけるクラウド化の現状

ユーザー企業でのクラウド活用はもはや当たり前になりつつあります。最近のシステム導入の多くは「クラウドファースト」を前提にしており、今後はクラウド化を視野に入れないシステム基盤はないと言ってもいいでしょう。ただし、現在のクラウド化の目的や狙いの多くがハードウェアなどのインフラコストを下げたいという「コスト削減」が中心で、企業の競争力強化や収益力向上を狙った「攻めのIT」化に向けて、クラウド活用を前提とした導入はまだ少ないようです。

それでは「攻めのIT」化に向けた導入検討が少ない理由はなぜでしょうか?

企業の競争力強化や収益力向上といった大きなテーマに取り組むためには、新たに構築するシステムだけでは対応ができず、既存の業務や基幹システムを含めた連携や見直しが必要になるケースが多く、既存システムの多くがオンプレミス上で稼働している場合、まずこちらから手を付けていく必要があるためです。

実際、全てのシステムのクラウド化を同時に進めるのは容易ではないため、将来的にクラウド上での統合を前提に、段階的に既存システムをクラウド上に移⾏していく必要があります。これを進める考え方の一つが「リフト&シフト」です。

■「リフト&シフト」とは

「リフト&シフト」とは、既存のシステムをクラウド上に移⾏し、最終的に全社のシステムをクラウド化。IoT、AI、データ分析など、デジタル変⾰に対応できるシステム基盤への変革を進めるステップの第一段階であるといえます。

具体的には、現在のオンプレミス上で稼働しているアプリケーションをクラウド上に“リフト”し、SoE(System of Engagement)との連携などを行うことで、段階的にシステム全体を攻めの仕組みに刷新するといった形で進めていきます。

 ただし、これはあくまでも第一ステップですので、既存システムをクラウド上に移行したことだけで満足してしまうと運用コストも大きくは変わりませんし、デジタル化に向けた変革もなかなか進みません。重要なのはクラウド化したシステムを如何に活用して、企業の競争力へとつなげていくのかといった取り組みを停滞させないことです。

■効果的な構築ステップ

 特にERPのような基幹システムの場合、影響を与える業務の範囲も大きいため、クラウド化に向けた手順も十分に考慮する必要があります。特にいきなり全体をクラウドネイティブな仕組みに刷新しようとすると、新しい技術を活用することが目的になりかねません。

 そこで、最初にインフラ部分をIaaSベースでクラウド化することをお勧めします。インフラ部分のクラウド化であれば、ERPアプリケーション部分は基本的に変わりません。まずはクラウド上で業務を動かし、インフラの運用管理の手間を大幅に削減。その上でERPが持つ様々なデータをSoE(System of Engagement)システムで活用、連携できるような準備をクラウド環境上で進めて下さい。そして、今後クラウド上で構築する新たなアプリケーションでのメリットを最大化しましょう。

■ERPの「リフト&シフト」における注意点

 このように、まずはERPのアプリケーションを動かしているインフラのクラウド化(IaaS化)を進めるべきなのですが、その際に注意すべき点があります。

 IaaS化というと、ベンダーのHPから申し込みを行うと簡単にサーバー調達ができると思われがちです。実際の所、間違えではないですがERPのような基幹業務を動かすインフラ構築は、それほど簡単ではありません。多くの場合、クラウドへの移行をパートナー企業に支援してもらうことが多いと思いますので、基幹系システムのインフラ構築に関して十分なノウハウを持ったパートナー選びが必要になります。

【基幹システム導入におけるクラウド選定のポイント】

1.将来に渡って継続的にクラウド サービスの提供を継続できる企業か?
2.コストパフォーマンスに優れたクラウド サービスか?
3.日本国内の商習慣(請求書支払いやサービス契約の準拠法)に対応しているか?
4.海外、日本国内に複数サービス拠点を持ち、BCP対策として利用可能か?
5.企業の基幹システム運用を担える、マネージドサービスが提供されているか?

特に5番目の基幹業務のシステム運用を担える「マネージドサービス」が重要であり、ERPシステムの導入、運用について十分な経験、実績を持つ、パートナー企業を選ぶ必要があります。

本、ERP事例サイトを運営されている、日商エレクトロニクス様もERPのクラウドサービス提供に多くの実績を持つクラウドインテグレータの一社です。「GRANDIT on Microsoft Azure」、「GRANDIT on AWS」といった、様々なパブリッククラウド上でGRANDITの運用実績をお持ちですので是非ご相談ください。


高橋 昇 プロフィール
GRANDIT株式会社 マーケティング室 室長

1985年 総合商社系情報システム会社(現インフォコム株式会社)へ入社。商社向けシステム開発部門に所属し、繊維・化学品・食品関係などのシステム開発やC/S・WEBシステム、ミドルウェアなどのアーキテクチャー選定・導入を担当。2003年10月 インフォベック株式会社(現GRANDIT株式会社)にて、次世代ERPコンソーシアムによるERP「GRANDIT」の開発に立ち上げ当初より参画。パートナー営業・製品開発の責任者としてERPシステムの提案活動・導入支援に従事。2018年よりマーケティング室 室長として、営業・製品開発をあわせたマーケティング施策の企画立案とプロモーション全般の責任者を担当。 GRANDIT公式サイトはこちら



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