「OCR製品やサービスの動向とRPAとの連携イメージ」(GRANDIT株式会社 マーケティング室 室長 高橋昇氏)

 前回のデジタル化を進めるために多くの企業で課題としてあげられているOCRについてご説明しました。

 OCR編の第2回目として、今回は現在市場に出回っているOCR製品やサービスの動向と効果的に自動化を進めるためにRPAなどの自動化ツールとの連携イメージをご紹介したいと思います。

■OCR製品やサービスを比較する上でのポイント

 現在、市場には様々なOCR製品やサービスが出回っていますがどのように比較すれば良いでしょうか?多くの製品は以下のような観点で分類できるようです。

①文字認識の方式(活字、手書き文字)

OCRは、手書きや印刷された文字を読み取りコンピュータが利用できるデジタル形式に変換する技術です。元々は印刷された活字の認識を得意としている製品が主流でしたが、最近ではAI技術を活用して手書き文字を高い精度で認識できる製品やサービスも増えています。

②対応言語の種類(英語、日本語、その他)

 画数や文字の複雑度などの関係から、認識率はアルファベット、数字を主体にした英語などの言語の方が漢字を主体とした日本語や中国語などより高いと言えます。最近では手書き文字の認識同様、AI技術を活用して認識率が向上していますがOCRエンジンにより得意分野(フォーマットの違い、手書きへの対応など)による得手不得手がある場合があります。

③対応ドキュメントの種類(画像ファイル、PDFファイル)

 通常一般的な画像ファイルの形式(JPEG、GIF、PNGなど)やPDFなどの文書ファイルに対応しています。また、比較的OCR読み込みのニーズの高いFAXで受信したTIFFファイルを取り込む場合、FAX特有のノイズやかすれを適切に補正する機能が求められます。

④提供形態(オンプレミス型、クラウド型)

一般のソフトウェア同様にOCRソフトもパソコンにインストールして使用するオンプレミス型とインターネットなどを介して利用するクラウド型の2種類があります。メリット/デメリットも初期コストや費用発生の考え方、構築までの期間、維持管理のための自社要員の必要性などがあげられます。

また、上記以外にもクラウド上でスキャン帳票をエントリーする仕組みを作り、AI+人手によるダブルチェックを行うことで認識精度を大幅に向上させるようなユニークなクラウド型AI-OCRサービスなども登場しています。

■RPAなどの自動化ツールとの連携イメージ

現在、OCRとRPAは以下のような役割分担になっていると思いますが、2つの機能を連携して使うと、このようにOCR/RPAを利用するそれぞれの段階で、2段階のチェックが必要になります。

もちろん金融機関、保険会社、携帯電話会社など、それなりの人手をかけて定常的に大量のドキュメントを処理する企業の場合には、このような2段階チェックが有効な場合もあります。一方でドキュメントの量もそれほどは多くはなく、それほどの人手はかけれないが、特に締日近くに処理が集中しがちな中堅企業の担当者様の場合、1ステップで効率的に処理したいといった声が多いのではないでしょうか?

<図1 一般的なOCR→RPA連携の流れ>

一方で、最近のRPAツールにはOCR機能をバンドルした製品があります。このような製品を利用することで、スキャンした画像ファイルとOCRで認識された内容を画面上で確認。チェック/修正を行い、その場でRPA機能を使いシステムへの入力を自動的に行うことが出来ます。

<図2 OCR+RPAツールでの連携の流れ>

<図3 OCR+RPAツールでの作業イメージ>

このように様々な製品やサービスが登場していますので、製品比較サイトなどで一度ご確認いただければと思います。どのタイプのOCR製品を選択するかは、使用するユーザー数やドキュメントの量、頻度などを把握した上で、自社に最も適している製品を選択する必要があります。

実は、現在OCR+RPAツールによる自動化について社内で検証を進めています。プロトタイプを鋭意製作中ですが、次回のコラムでは是非ご紹介したいと考えておりますので、どうぞご期待下さい。

高橋 昇 プロフィール
GRANDIT株式会社 マーケティング室 室長

1985年 総合商社系情報システム会社(現インフォコム株式会社)へ入社。商社向けシステム開発部門に所属し、繊維・化学品・食品関係などのシステム開発やC/S・WEBシステム、ミドルウェアなどのアーキテクチャー選定・導入を担当。2003年10月 インフォベック株式会社(現GRANDIT株式会社)にて、次世代ERPコンソーシアムによるERP「GRANDIT」の開発に立ち上げ当初より参画。パートナー営業・製品開発の責任者としてERPシステムの提案活動・導入支援に従事。2018年よりマーケティング室 室長として、営業・製品開発をあわせたマーケティング施策の企画立案とプロモーション全般の責任者を担当。 GRANDIT公式サイトはこちら

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