鍋野敬一郎氏コラム「ERP再生計画」第13回「デジタル化はERPにどのような影響をあたえるのか」

□はじめに

最近デジタル化という言葉を耳にする機会が増えていますが、このデジタル化への取り組みについてビジネスの視点とERPとの関係について3回にわたってお話したいと思います。デジタルを語る前にその反対語はアナログですが、ここで言うアナログとは“ヒト”または“ヒトによる作業対応(手作業:マニュアルオペレーション)”を意味しています。ヒトによる作業やその作業によるアウトプット(レポートや報告書など)が、自動的にデータ化されることをデジタル化と考えてください。ビジネスのあらゆる情報が自動的にデータ化され、この大量データを集めて分析することで新しいサービスや価値を生み出すことが“デジタルイノベーション”です。これまで企業が取り組んできたシステム化と違うのは、システム化の目的が効率化やコスト削減といった内向き(守りのIT)であったのに対して、“デジタルイノベーション”は、デジタル化によって新しいサービスや価値を生み出されます。顧客満足度向上や新しい顧客獲得といった外向き(攻めのIT)です。システムの役割が、業務を支援するものからビジネスを牽引する中心への変わる取り組みに期待して“デジタルイノベーション”と呼ばれていのだと考えた方が良いでしょう。

■日本のデジタル化は欧米に比べて“圧倒的”に遅れている!?


日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が最近公開した「デジタル化の取り組みに関する調査」2017年度調査結果によると、欧米と比較した日本企業の取組み状況は、「圧倒的に遅れている」と答えた企業が45.5%(前年調査では39.4%)、欧米より「進んでいる」と答えた企業が0.6%(前年調査では0.0%)という結果でした。(図表1)デジタル化の遅れによるビジネスへの影響や、デジタル化を武器とする新たな競合の出現に対する危機感が広がっています。また、デジタル化を進めることによるメリットとしては、「新しい事業、ビジネスモデルの創出」、「顧客への価値提供」をあげる回答が多くデジタル化の効果指標は従来の「財務指標」ではなく「顧客満足度の向上」へ変化していることが分かります。
(参考情報:JUASより、http://www.juas.or.jp/cms/media/2018/05/Digital_17_ppt.pdf

 

最近のデジタル化への取り組みについては、既にご存知だという方も多く、何を今更と思われる方も居ると思います。この調査結果のポイントは、「デジタル化を阻む障壁」に“法的規制”、“商習慣”、“レガシーシステム”があげられていることです。筆者が注目したのは、“レガシーシステム”という言葉です。この調査の実に7割が「レガシーシステムがデジタル化への足かせ」だと感じているそうです。その理由は以下の3つです。
(1位)ドキュメントが整備されていないため調査に時間が要する
(2位)レガシーシステムとのデータ連携が困難
(3位)影響が多岐にわたるため試験に時間を要する

最近良くある相談は、“レガシーシステム”化したERPシステムを再構築する問い合わせです。そして、最近ERPシステムを新規導入、再構築する企業が増えています。その背景にある原因のひとつがレガシー化したERPにあると考えられます。10年以上前に導入されたERPシステムは、会計システムを中心としたものです。つまり、「財務指標」を軸とした経営向けの経営管理システムだと言えます。しかし、いま求められているのは「顧客満足度の向上」を効果指標としたデジタル化です。レガシー化したERPのなかには、現場業務の情報や得意先/仕入先など企業間の連携を数値や値などデータ化された情報がありません。データを活用したサービス提供や新しいビジネスの創出を行うためには、ERPを再生しておいた方がこうした新しい取り組みには良いと考えることができます。(図表2,図表3)

■デジタル化の成功には企業システム全体の見直しが必要となる
デジタル化とは、作業や作業環境の状況(作業実績、温度、湿度など)、装置や機器の稼働実績(稼働時間、故障、エラーなど)を数値や値でデータ化することです。収集したデータは解析処理されて新しいサービスや顧客満足度の向上に利用されます。日々変化する市場変化や顧客ニーズに、データ活用の内容も柔軟かつ迅速に対応する必要があります。新しいサービス提供のスピードが、デジタル化で勝ち残るポイントとなります。サービス提供するアプリケーションを、誰よりも早く開発提供するシステム基盤(デジタルプラットフォーム)が勝敗を決めることになります。しかし、日本では現場担当者が作業して、これを手書きで紙やExcelにデータを入力しています。そして、しばしばそのデータは脚色されています。これが、最近製造業が良くある不正問題の背景です。正しいデジタル化には、ヒトが介在せず自動的にデータが収集管理される仕組みが必要です。

正しいデジタル化の例として、製造業のアフターサービスをデジタル化したケースについて考えてみます。正しいデジタル化が実現すると製品(装置や機器などハードウェア)に組み込まれたセンサーのデータを自動的に収集し、装置の状況を常時監視します。故障やトラブルの予兆が検知されると、データが起点となって顧客からの連絡が来る前に行動を起こします。装置が故障する前に部品交換したり、遠隔操作で事故を未然に防いだりすることが出来ます。従来のアフターサービスは故障やトラブルが起こったあとに、事後対応するサービスです。デジタル化したアフターサービスは故障やトラブルを未然に回避します。IoTの世界では、これを予知保全、ダウンタイムゼロと呼んでいます。このサービスを提供するシステムには、顧客情報と製品の設備情報、保全履歴、契約に紐づく請求処理と言った機能が必要となります。ERPにはこの機能が全て揃っていますから、ERPと連携すれば、「デジタル化したアフターサービス」の機能だけ開発すれば直ぐにサービス提供が可能となります。(これをマイクロサービス、またはマイクロERPと呼びます)欧米企業では、ERPシステムの導入、活用が先行していることからデジタル化による連携効果を得られやすい環境が整っていると言えるでしょう。日本のERPは会計だけしか使っていない企業も多いためERP再生はデジタル化にとって喫緊の課題となります。先行する欧米に追いつくために、ERP再生を並行して進めておく必要があるでしょう。

さて、次回はデジタルイノベーションを成功させるための方法とシステム構成についてご紹介します。部分最適なデジタル化ではなく、全体最適のデジタルイノベーションをどのように考えれば良いのか、分かりやすくご説明します。

◆このコラムについて
ビジネスコンサルタント 吉政忠志氏(吉政創成株式会社)より

鍋野敬一郎氏の「ERP再生計画」第13回「デジタル化はERPにどのような影響をあたえるのか」はいかがでしたでしょうか?

日本ではERPを導入して10年、20年というお客様も多いのではないでしょうか?今回のコラムで書かれたデジタル化の波を受け、再構築するのもありなのではないかと思いました。当たり前ですが10年前に構築したERPは10年前の状況に合わせて作られています。20年前のものなら20年前です。その後、改修を来ないながらここまでつかってこられたのだと思いますが、つぎはぎつぎはぎの改修にも限界があると思います。このコラムを掲載いただいている日商エレクトロニクスは以下の業界に特化したERPを提供しています。業界に特化したERPは低コストで導入ができ、メンテナンスも容易です。商社やIT企業の皆様がERPの導入を検討される際に、是非、日商エレクトロニクスの名前を思い出していただきたいです。以下の2サービスは業界向けにカスタマイズされていますので、とても使いやすいものが、低価格でできると思います。興味がある方はぜひ以下の商品もご覧ください。

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