鍋野敬一郎氏コラム「ERP再生計画」第12回「ブロックチェーン技術とERPが実現する新しいソリューション」

□はじめに

フィンテックで最も注目されているブロックチェーン技術は、仮想通貨ビットコインを実現するテクノロジーとして登場しました。その技術は①『改ざんが極めて困難』(改ざんされない)、②『実質ゼロ・ダウンタイム』(システムが停止しない)、③『安価な仕組み』(管理者が必要ない)という優れた特徴があります。ブロックチェーン1.0は、ビットコインという仮想通貨を実現するだけの仕組みでしたが現在開発が進められているブロックチェーン2.0では、スマートコントラクト(契約管理)やスマートプロパティ(資産管理)、クラウドファンディング(資金調達管理)などへの対応が進められています。これらの機能は、いずれもERPとの連携による親和性が高くERPの利用メリットを広げると期待されています。

ブロックチェーン2.0に進化して、金融分野の分散型プラットフォームとしてお金に関わるサービスに利用することが出来るようになりました。スマートコントラクトは、契約やその執行に対して第三者の信用機関がこれを補償するという管理機能は省くことが可能となります。ブロックチェーン技術によって、「プログラム(契約)が自動的に実行される」「過去の契約の実行履歴が全て記録・公開される」という点から、不正に契約の改ざん・詐欺をする余地が無くなります。つまり、契約管理のコストを削減することができます。こうしたメリットとともに、バグや脆弱性によるハッキングのリスクもあります。実際に2018年5月に仮想通貨「モナコイン」でブロックチェーンのデータ改ざんというハッキングが生じています。実用化に向けて着実に技術向上しているブロックチェーン技術ですが、まだ進化途中であることを踏まえて、その可能性について考えてみたいと思います。
(参考URL:http://www.thoughts-make-things.com/entry/block-chain-tampering

■次世代ERPとブロックチェーン2.0の連携による新しいソリューションとは

前回は、ブロックチェーン技術の内容や進化などについてご紹介しました。今回は、ERPとブロックチェーン技術の連携による具体的なイメージとそのメリット/デメリットについてご説明します。ブロックチェーン2.0で最も期待されている機能が、スマートコントラクト(契約管理)です。例えば、商品の取引プロセスは、次のような流れで行われます。

①契約の事前定義→②イベントの発生→③契約執行/価値転嫁→④決済

例えば、商品の購入という契約を考えてみると次のようになります。
「①商品を棚に並べて価格や取引条件を決める」

「②顧客が商品を注文(購入)する」

「③商品が発送される(契約執行、価値転嫁)」

「③納品検収後に代金が支払われる(決済)」

ネット通販などでは、この仕組み(eコマースや商社/卸など)を実現してサービス提供しています。第三者の業者が一連の処理と決済をサービスとして提供しますが、集中管理型の大規模なシステムが必要となります。この集中管理型システムをブロックチェーン2.0で置き換えることが可能となります。これによって、こうしたサービス手数料が大幅に下がるとともに大手企業でなくても信頼性の高いサービスを提供することが可能となります。①の契約の事前定義に必要なシステムコストが大幅に下がって、②注文(契約)からの処理が自動的に行われます。タクシーの配車サービスUberや民泊サービスAirBnBなどと同等のサービスを誰でも簡単に実現できるのがこのブロックチェーン2.0です。

■スマートコントラクトとERPの連携によるメリット

製造業などが生産した製品は、商社や卸売など流通業を介して市場で販売されています。コンシュマー業界では、アマゾンや楽天などのネット通販会社が大規模システムを構築して決済機能に物流や保険、サポートなどを合わせてサービス提供しています。企業間取引でも考え方は同様ですが、業界ルールや商習慣によって条件が異なるためコンシュマー業界の取引ほど簡単ではありません。EDI(業界EDIや企業グループEDIなど)とERPの連携も普及してきていますが、その接続や会計システムとの連携には手間もコストも掛かるのが現状です。取引条件や処理手続き、決済などのデータ連携に至る複雑で煩雑な処理をシステム間連携させる必要があります。さらに、国をまたがる取引の場合は為替の変動やその手続費用なども考慮しなければなりません。商取引に仮想通貨を利用するメリットは、この為替の変動を受けることなく手続費用も最小限に抑えられることです。スマートコントラクトが期待されているのは、こうした背景があるからです。

スマートコントラクトを実現するブロックチェーン2.0を提供するサービスとして、イーサリアムなどが良く知られています。イーサリアムは、ビットコインでは出来なかった契約管理などの機能を備えていて幅広い用途が期待されています。イーサリアムをビジネス活用するための研究・開発を行う企業連合EEA(Enterprise Ethereum Alliance)という組織があります。2017年2月28日に発足し、マイクロソフトやインテル、JPモルガンをはじめとして超有名企業が多数参加しています。日本からもトヨタ自動車やKDDI、NTTデータ、三菱UFJ銀行などが参画しています。

こうしたブロックチェーンのサービスは、今後さらに拡大していくと思われます。そして、こした技術の開発と並行して具体的なソリューションを提供するアプリケーション開発が加速しています。2018年2月には、NTTデータが、保険業界向けにブロックチェーン基盤を提供して実証実験を開始しています。保険業務では、その契約情報を各社が個別にデータ管理(契約台帳管理)してきました。保険を取り扱う代理店と保険を販売する保険会社で台帳を管理しなければならないのですが、その管理は煩雑でタイムラグによる不整合も生じやすく管理コストも膨大です。データセンターに大規模システムを構築するやり方が一般的でしたが、最近はクラウド環境(セールスフォース・ドットコムなど)を利用した仕組みへ移行しつつありましたが、今後は更にブロックチェーン技術を利用した仕組みへと進化すると予想されます。また、ブロックチェーン3.0ではIoT対応したアフターサービスや、スマートサプライチェーン、スマートトレーサビリティなどといった金融分野以外の用途利用も拡大して行くでしょう。ERPシステムは、企業/企業グループの基幹システムとして、こうしたブロックチェーン基盤との連携で作業効率を高め、システムコストを大幅に減らすことが可能となります。

◆このコラムについて
ビジネスコンサルタント 吉政忠志氏(吉政創成株式会社)より

鍋野敬一郎氏の「ERP再生計画」第12回「ブロックチェーン技術とERPが実現する新しいソリューション」はいかがでしたでしょうか?

ERPの世界だけではないですが、今後ますますスピードが求められる時代になっていきます。対応の遅さはチャンスを得られないことや、ダメージを受けることに直結していく時代になります。ERPにおいては、今回のブロックチェーンへの対応なども挙げられますが、なるべくカスタマイズを行わずに導入するということも、その一つになります。日商エレクトロニクスが提供する商社向け、IT企業向けテンプレートは、この二つの業界において極力カスタマイズがなくて済むように開発されています。例えば、バージョンアップ、新機能の対応などもすべて早くなります。ERPリプレイスの際は是非ご検討の一つに加えていただきたいです。日商エレクトロニクスが提供する商社向け、IT企業向けテンプレートについては、以下をご覧ください。

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