鍋野敬一郎氏コラム「ERP再生計画」第11回「ブロックチェーン技術とERPの連携とは」

□はじめに
フィンテックにはいろいろなサービスがあることを前回ご紹介しましたが、その中で最も注目されているのがブロックチェーン技術です。ブロックチェーン技術とは、ビットコインやイーサリアムなど仮想通貨を実現するコアテクノロジーです。ブロックチェーンは、“分散型台帳技術”または“分散型ネットワーク”とも言われていて、ビットコインの中核技術をベースとしたデータベース機能を意味しています。ビットコインのような仮想通貨は、このブロックチェーン技術があるからこそ実現出来ているのです。この技術は、仮想通貨以外にも様々な用途に利用出来ることが分かってきています。銀行やクレジットカードなど金融機関やSAPなど大手ITベンダ、ベンチャー企業などがブロックチェーンに新しいチャンスを求めて熱い期待を抱いて取り組んでいます。

■ブロックチェーンとはどのような技術なのか
ブロックチェーンは、“ブロック”と呼ばれるデータ単位を一定時間ごとに生成して、“ブロック”データをチェーンのように連結してデータを管理するデータベースの仕組みです。その特徴は、P2Pネットワークを利用してブロックチェーンのデータを共有し管理者を必要とせずにシステムを維持することが出来ます。従来の銀行システムでは、お金の情報を中央主権型システムで集中管理しています。これは、勘定系システムと呼ばれる仕組みで大規模なシステムとそのデータを保護する高度な情報管理機能を実現するために莫大な開発費用と維持費用が必要となります。メガバンクのみずほ銀行が、新しい勘定系システムの構築を行いましたがその開発費用は数千億円と言われています。ブロックチェーンは、これと同じ機能を全く別のアプローチで実現する技術で、大規模システムや中央管理者を必要とせずにシステムを維持管理することが出来ます。従来の銀行システムなどと比べると、その構築と運用に必要な費用を劇的に減らしつつ、勘定系システム同様にデータの改ざんなどは困難となります。ブロックチェーンによる仮想通貨の強みは、次の3つのポイントです。
①『改ざんが極めて困難』(改ざんされない)
②『実質ゼロ・ダウンタイム』(システムが停止しない)
③『安価な仕組み』(管理者が必要ない)
この3つは、銀行やクレジットカード会社の勘定系システムに勝るメリットだと言われていてブロックチェーン技術によるものです。

ブロックチェーン技術の用途は、ビットコインの仮想通貨をブロックチェーン1.0として、その技術を起点としてどんどん進化しています。ブロックチェーン2.0では、金融分野における分散型プラットフォームとしてスマートコントラクト(契約管理)や決済・送金・ローンなど金融情報サービスに対応しています。さらに進化したブロックチェーン3.0は、金融系以外の文書や権利の履歴記録管理やサプライチェーン管理、製品やサービスのトレーサビリティ、IoTサービスなど広範囲なアプリケーションに対応が可能となります。
※経済産業省「ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査」より
http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160428003/20160428003.html

■ブロックチェーン技術の進化とERPとの連携について
ERPとブロックチェーンの連携によるソリューションは、まずERPの会計機能とブロックチェーン2.0の決済・送金から対応していくことが予想されます。この段階では、ERPとブロックチェーンシステムがそれぞれの機能を連携して自動決済処理や、国や通貨を越えた送金を簡単に行うサービスが提供されます。ERP老舗で大手ITベンダである独SAP社は、カナダのブロックチェーン決済システム開発ベンチャーのRipple(リップル)社と共同開発したブロックチェーンプラットフォーム上で国際送金などを実現しています。ちなみに、SAP社はこの機能ブロックチェーン機能をSAP Leonardo(レオナルド)と名付けたイノベーション・プラットフォームのひとつとして提供しています。

次世代ERPでは、ERPシステムの中にブロックチェーン技術を組込んで幅広いサービスが提供されると予想されます。ブロックチェーン3.0は、金融分野以外にもサプライチェーンやトレーサビリティ、IoT対応したアフターサービスなどの機能を実装することが可能となります。こうした機能の実現イメージを簡単にご紹介します。

・スマートサプライチェーン
原材料や製品といったモノに対して、所在が移動したり、加工や処理が行われたりするごとにデータが更新されます。この情報を照会すれば、モノに関する履歴や最新状況を把握することが出来ます。イメージとしては、物流システムの配送状況を調べるのに似ています。モノが製造されるところから、入手して利用され廃棄するところまでの全ての過程を網羅した情報を管理出来ます。例えば、素材・化学業界では、有害性のある化学物質に対するPRTR(化学物質排出移動量届出制度)という仕組みがありますが、この仕組みを簡単かつ安価に行う手段などに利用出来ると思われます。

・スマートトレーサビリティ
最近何かと話題になっている、企業の製品や食品などの品質データ改ざんや偽装に対して有効な手段としてトレーサビリティ管理があります。トレーサビリティ管理の仕組みは、大企業での導入が進んでいますが費用が掛かるため中小企業では難しいのが実情です。ブロックチェーン技術によって、大幅に費用負担が下がることで幅広く普及が期待できます。「高い品質と高い信頼性」という日本のブランドを支える手段として、トレーサビリティこそ世界市場で競争力を高めるために必要な取り組みであり、ブロックチェーン技術によるスマートトレーサビリティには期待出来ると思われます。

□次回の内容
今回はフィンテックで最も注目されているブロックチェーンについて、その内容とERPとの連携イメージを簡単にご紹介しました。次回は、ERPとブロックチェーンの連携について、もう少し具体的な内容やソリューションについてご紹介いたします。

◆このコラムについて
ビジネスコンサルタント 吉政忠志氏(吉政創成株式会社)より

鍋野敬一郎氏の「ERP再生計画」第11回「ブロックチェーン技術とERPの連携とは」はいかがでしたでしょうか?

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