商社ERPトレンド紹介 第12回「商社のDXでは、PLMの考え方で、企業の製品ライフサイクルを管理!ERPとは何が違う?」

こんにちは、穂苅智哉と申します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が商社にも押し寄せており、その一環として注目されているのがPLM(Product Lifecycle Management)とERP(Enterprise Resource Planning)の活用です。両者は企業の運営において重要な役割を果たしますが、その目的や機能には明確な違いがあります。この記事では、PLMの考え方を取り入れた企業の製品ライフサイクル管理について掘り下げ、ERPとの違いを明確にします。

PLMとは?

PLM(製品ライフサイクル管理)は、製品の企画から設計、製造、販売、廃棄までの全過程を統合的に管理する手法です。PLMの主な目的は、製品の品質向上と開発コストの削減、さらには市場投入までの時間短縮です。具体的には、以下のような機能を提供します。

  1. 製品データ管理(PDM):製品に関連するすべてのデータを一元管理し、設計変更やバージョン管理を容易にします。
  2. コラボレーションツール:異なる部門間での情報共有を促進し、設計や製造プロセスの効率化を図ります。
  3. プロジェクト管理:製品開発プロジェクトの進捗をリアルタイムで監視し、問題発生時には迅速な対応が可能です。

PLMを導入することで、商社は複雑な製品情報を一元的に管理し、グローバルなサプライチェーン全体での協力体制を強化できます。

ERPとは?

一方、ERP(統合基幹業務システム)は、企業の経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を統合的に管理するシステムです。ERPの主な目的は、業務プロセスの効率化と情報の一元化です。以下のような機能を持ちます。

  1. 財務管理:企業の財務データをリアルタイムで管理し、経営判断を支援します。
  2. 在庫管理:在庫の最適化を図り、コスト削減とサービスレベルの向上を実現します。
  3. 販売管理:自社製品やサービスの販売状況を管理し、一元化を実現します。
  4. 生産管理:生産計画の作成、材料の仕入れや作業人員の配置、仕掛品の管理など精算工程を管理します。
  5. 人事管理:従業員の情報を一元管理し、労務管理の効率化をサポートします。

以上、ERPは企業全体の業務プロセスを横断的に管理し、経営の透明性と効率性を高める役割を果たします。

PLMとERPの違い

PLMとERPはともに企業の運営において重要な役割を担いますが、その適用範囲と目的には明確な違いがあります。PLMは主に製品開発プロセスに焦点を当てており、製品のライフサイクル全体を通じてのデータ管理とプロセスの最適化を目指します。一方、ERPは企業全体の経営資源を統合的に管理し、業務プロセス全体の効率化を図ります。

例えば、新しい製品を開発する際、PLMは製品の設計データや試作品の情報、開発プロジェクトの進捗状況を管理します。一方、ERPは開発にかかるコストや資材の調達状況、プロジェクトに関わる人件費などを管理します。このように、PLMとERPは相互補完的な関係にあり、両者を適切に活用することで、商社は製品開発から販売、アフターサービスまでの一連のプロセスを効率的に管理することができます。

最後に

今回は、PLMとERPについて取り上げていきました。

商社のDX推進において、PLMとERPの両方を適切に活用することは不可欠です。PLMは製品のライフサイクル全体を管理し、製品の品質向上と市場投入までの時間短縮を実現します。一方、ERPは企業の経営資源を統合的に管理し、業務プロセスの効率化を図ります。これらのシステムを組み合わせることで、商社は競争力を高め、グローバル市場での成功を収めることができるでしょう。

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