企業で推進が進むDX(デジタルトランスフォーメーション)の中でも製造業のDXで取り上げられるのがこの「スマートマニュファクチャリング」です。
最近のDXにおける重要な用語ですので、今回解説してまいります。
スマートマニュファクチャリング
スマートマニュファクチャリングというと、スマートな製造業を実現するための仕組みのようなイメージを持つかもしれません。
スマートマニュファクチャリングの定義については、それぞれの企業・団体や立ち位置によって異なるようで、DXと同じように明確な定義はありません。
そのため、複数の定義から要素をまとめてみることにしました。
スマートマニュファクチャリングとは、「製造工場の現場から、ビジネスのあらゆる側面において、サプライチェーン全体デジタル化が進んでいる状態を示しており、設計・生産・販売・流通・保守運用がデジタル化により効率化している状態のこと」となります。
ちなみに、近い意味として「スマートファクトリー」という用語もあります。こちらはより狭義で、工場・生産現場を対象としたデジタル化のことを指します。スマートマニュファクチャリングを実現するための要素の1つにスマートファクトリーがあるという立ち位置です。
スマートマニュファクチャリングの背景
それでは、スマートマニュファクチャリングが推進されている背景について見ていきます。現在、あらゆる産業で進んでいるDX化の背景とも重なってきますがまずは市場全体の変化です。IT技術が目まぐるしく進歩していく中で、AIやIoT、高性能センサー等を活用することでものづくり全体の敷居が下がりました。
それにより、市場の変化にいち早く対応していく必要が出てきました。従来の製造業で行われていた決まった規格のものを多く生産し数をこなしている状況では対応できず、パンデミックや社会情勢の変化にも柔軟に対応できるような仕組みをITを使って実現していく必要性が出てきました。
もう1つは顧客ニーズの変化です。これは市場全体にも当てはまりますが顧客ニーズの多様化により、顧客ニーズにあった製品を製造し提供していく必要が出ています。粒度の差はあれカスタマイズ・パーソナライズの必要が出てきているのです。
こういった背景から、スマートマニュファクチャリングの必要性が高まっていると言えます。
スマートマニュファクチャリングを実現するためには
背景がわかったところで、実際にスマートマニュファクチャリングを実現するためにはどのようにしたら良いのでしょうか。
先程取り上げたスマートファクトリーもその1つです。AI・機械学習といった技術を使い、協働ロボットを活用すること、IoTデバイスの活用を行うことなどで、大量のデータを管理分析し、そこから生産性を向上していくための改善を常に実施していくことです。
更にARやVRの技術も有効です。例えば現場の経験値が高い技術者が会社にいながら現場の状況を把握し指示を出せる、現場の作業員のための教育訓練ができることもポイントです。
また、定義の部分にある「サプライチェーン」の最適化から、サプライチェーンマネジメントもスマートマニュファクチャリングにはなくてはならない要素です。
製造現場だけではなく、その後の流通や販売、保守運用など全体を見た上での最適化を行うために情報を連携したネットワークを構築することが求められています。
最後に
今回は、製造業のスマート化にあたる、スマートマニュファクチャリング について取り上げてきました。製造業は日本の主力産業ですし、取り組みによるインパクトもとても大きくなると想定されます。参考になりましたら幸いです。
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