国連の気候変動に関する政府間パネルであるIPCCは2022年4月に気候変動緩和に関する報告書を発表しました。
この中では、世界の平均気温上昇を1.5度上昇に抑えるために、世界の温室効果ガスの排出量を2030年までに2019年比43%削減を行う必要があり、そのためには官民で現在の3〜6倍の投資を行う必要があると報告しています。
(参考)
報告書の中で、再生可能エネルギーが重要になってくるという部分があり、これを実現する場合には再生可能エネルギーを前提にした電力システムを構築することが必要になってきていると書かれています。その電力システムの1つにスマートグリッドがあります。
今回は、ここで登場してきた、スマートグリッドについて今回は説明します。
スマートグリッド
スマートグリッドとは、Smart(賢い)Grid(送電網)という意味の言葉で、電力需要の増加により既存の電力網では対応ができなくなってきている状況から、既存の仕組みを再構築していくことで通信やIT技術を用いた電力エネルギーのネットワークを効率的に運用することを指します。
このスマートグリッドはアメリカのオバマ政権時のグリーンニューディール政策の1つでもあり、現在でも世界的に推進が期待されています。
具体的にスマートグリッドではどのようなことがされているのかというと、例えばスマートメーターの設置があります。このスマートメーターでは電力線と併設されたネットワーク回線で消費電力の情報などを電力会社にリアルタイムに送ることで細かい電力消費を把握でき、電力生成や設備投資の材料として利用することができるようになります。電力は性質上、多く作ったら長時間貯めておくということが難しいため、どうしても必要な量を把握してその分を作るということが必須です。スマートメーターによる把握が非常に重要な理由となっている部分です。
その他にもスマートグリッドでは家庭やオフィス、工場などの電力を消費する場所においても電力生成を行うことができる仕組みを導入することで、使う分は自分たちでも発電できるようにすることもポイントです。太陽光発電や風力発電、家庭用の発電装置など、電力を大規模な発電所に頼らずに生成することは可能です。こういった電力の地産池消を実現していくという考え方もスマートグリッドなのです。
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の資料はとても詳しいためこちらもご興味あれば御覧ください。
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〜以下、プロフィール〜
南波真之(なんばさねゆき)
新卒でWordPressのトップ企業に入社し営業、マーケティング、ディレクションを経験、その後SaaSサービスを開発、提供する会社にてパートナーセールスを行いながらWeb、営業、マーケティング、SaaSなどの情報発信を続けている。