GRANDIT導入事例 株式会社ジュピターコーポレーション様

メーカー商社が基幹システム更改に国産のGRANDITを採用
業務プロセスの一元化によりデータの信頼性向上を実現

事例概要

商社機能とメーカー機能を併せ持つ株式会社ジュピターコーポレーションは、旧基幹システムの更改にあたり、双日テックイノベーションの提案する純国産オールインワンERP「GRANDIT」を採用。販売と会計の業務プロセスが一元化したことでデータの信頼性とガバナンスの強化が実現するとともに、営業収支実績や予測の数値精度向上のための基盤構築を達成しました。

Before/After

課題/目的

  • 販売と会計が連動した基幹システムに更改し一元化することによりデータの矛盾をなくしたい
  • 業務の標準化を行うことでビジネス環境の変化に強い基幹システムを構築したい
  • 業務を効率化しシステムの利便性を向上したい
  • 経営指標報告の構築と精度向上を図りたい
旧JSRトレーディング株式会社様GRANDIT導入時の課題と目的

効果

  • 新基幹システムによりガバナンスの強化とワークフローによる統制強化が実現
  • 販売と会計の業務プロセスが一元化したことでデータの矛盾が排除され信頼性が向上
  • 国内担当者と輸出担当者がGRANDITを共通利用し業務一元化に成功
  • 日本本社と米国支店との間のデータ生成と送付が実現しデータ連携の負担が軽減
  • ヒューマンエラーが格段に減り信頼性が向上
  • 管理職が外出先でも承認行為が可能となりフットワークが拡大
  • 営業収支の集計結果を迅速かつ正確に出すための基盤を構築

企業情報

商社部門と設計・製造・整備部門を併せ持ち、製品と価値を創る“メーカー商社”。海外の最先端技術と製品を導入し、国産技術と融合させて、お客様のニーズに合ったカタチに創り上げることにより、我が国の産業の発展に貢献している。
(参照:https://www.jupitor.co.jp/business/

企業名株式会社ジュピターコーポレーション
HPhttps://www.jupitor.co.jp/
所在地東京都港区南青山3-17-4
設立1948年4月13日
従業員数228名(2020年4月1日現在)

【導入前の課題】

旧基幹システムは販売と会計が連動せず異なるデータを二重で管理

 ジュピターコーポレーションは、終戦間もない時期に、創業者が日本の復興と社業を通じた社会の発展へ貢献するべく、米国から航空機部品を輸入し国内の大手メーカーに販売する貿易業として創業。以後70年以上、国内外の取引先から絶大な信頼を得て業容を拡大してきた。現在は、宇宙、航空、船舶、車両(自動車・鉄道)、電子・電気、流体、医療に関する装置・機材・部品・原材料を取扱う貿易流通の商社機能と、航空機用の地上支援装置や航空宇宙関連の搭載電子機器、工場用自動計測制御機器などの設計・組み立て・修理を行い高付加価値の製品を提供するメーカー機能の2つの顔を併せ持つ、国内でも稀な“メーカー商社”としてビジネスを展開する。

 同社の情報化の歴史は1980年代に遡る。初期はオフコンを長年運用していたが、保守が困難になったため、2000年に第一回目のスクラッチシステム導入、そして2010年9月に同業の大手商社がスクラッチで開発したシステムを導入し、輸入販売業務に合わせて改修を加えて運用を始めた。しかし、その旧基幹システムには会計プログラムと生産管理プログラムが実装されておらず、会計では異なるERPを活用していながらもERPを活用できておらずExcelで管理するなどしており、販売と会計が連動せず、異なるデータを二重で管理していたことが課題となっていた。IT戦略室 担当部長 石川 博基氏は、「販売データを会計に渡す仕組みを作るには、業務プロセスに大幅な変更を加える必要があったが、社内での意向が揃わず断念。販売と会計の数値はそれぞれ算出手法が異なるため差が生じており、その差分の検証にも手間と時間がかかる状態でした」と振り返る。

 また、旧基幹システムは完成当時から1世代古いOSをベースに構築されており、10年経過する頃にはソフトウエア開発言語の老朽化とメーカーサポート完全終了により運用が限界にきていたという。石川氏は「旧基幹システムは完全なスクラッチモデルだったため、改修にはかなりの工数と費用がかかることから延命を断念。販売と会計を連動するERPへ更改し、それを軸として業務の標準化を行うことで、ビジネス環境の変化に強い基幹システムの構築を目指しました」と語る。

【選定の理由】

コンソーシアム形式で開発、更新されサポート終了の懸念が少ないERP「GRANDIT」を選定

 基幹システムをERPに刷新するプロジェクトは2019年10月に開始した。メインテーマとしたのは「デジタル変革時代への対応」である。その実現に向けて、
1) 業務一元化
2) システムデータの信頼性向上
3) 一元化による経営/営業数字の精度向上
を主にシステム刷新の目的とした。
 そこで、コンサルティング会社の協力を得て、2019年11月から複数のERPベンダーに提案を募集。応募した5社の中から3社をピックアップし、提案された内容を検討した結果、最も注目したのが、双日テックイノベーションが提案したGRANDITだったという。
 GRANDITが同社の新基幹システムに適切だった理由は主に次のものがあった。
 第1に、複数のユーザ系システム企業が蓄積されてきた知恵やノウハウを結集したコンソーシアム形式で開発し更新し続けるERPであること。現在も立ち止まらず進化(アップデート)を続けており、今後サポート終了が唐突に告げられる懸念も極めて少ないと判断したという。
 第2に、一般のERPには実装されないことが多い見積関連機能が装備されていること。ジュピターコーポレーションは見積依頼からすべてシステム管理しているため、新規構築や修正は必要だったが契約プロセスから始まる多くのERPと比較するとメリットがあると判断した。
 第3に、EDI連携機能が実装されていること。ジュピターコーポレーションは特に取引量の多い「航空機業界EDI」との連携が必須となっている。GRANDITは大規模なEDIシステムとの連携実績も多く、また双日テックイノベーションには航空機業界EDIとの連携実績があり、その知見や経験は多くのメリットがあると判断した。
 石川氏は、提案元の双日テックイノベーションについても高く評価する。「双日テックイノベーションは弊社の出した提案依頼をしっかりと読み込み、深く解釈した上で、プレゼンにおいても的確かつ現実的な提案をしてくれました。その点で他社との差が際立った感じを受けました。提案内容の「GRANDIT」も商社業務や商習慣に適した機能が搭載されていると感じました。」

【導入後の効果】

販売と会計の業務プロセスが一元化されたことで業務データの精度が向上

 2020年2月にGRANDITの採用が正式に決定。この新基幹システム構築プロジェクトは2020年2月に開始された。導入した標準モジュールは「共通」「販売/調達」「債権/債務」「経理」の4つ。それらに加えて商社業務アドオンテンプレートも採用した。今回は、各部門の現場担当者もプロジェクトメンバーとして参加してもらったと石川氏はいう。「メンバーには、部分最適ではなく全体最適の視点を持つことや、従来の業務を踏襲するためにERPにアドオンを加えるのではなく、ERPに業務を合わせて改革していくという意識を出来る限り持ってもらうように努めました」
また、当時は米国支店もシステム老朽化によるERPの更改を検討しており、GRANDIT導入とのタイミングを合わせるための調整が続いた。「双日テックイノベーションのSEは、米国支店のメンバーや現地のERPベンダーと、英語によるコミュニケーションで多大な貢献をしてくれました。そのおかげで、主要なデータ連携の部分は完成させることができ、大変助かりました」と石川氏は話す。
 さらに、GRANDIT導入を機に、名古屋支店管轄のロジスティックセンターで活用しているWMS(倉庫管理システム)を、東京本社管轄のロジスティックセンターでも使えるようにするためのGRANDITとの連携も双日テックイノベーションが支援した。
 GRANDITをベースとした新基幹システムは、2021年11月に本番稼働を開始。それによる効果は大きく4つほど確認されている。
 1つ目は、ガバナンスの強化だ。従来の旧基幹システムで行われていたイレギュラーな処理が大幅に制限され、例えば倉庫側と会計側で在庫帳簿上の齟齬が生じるといった問題は減少したという。また、以前は紙ベースでの承認の回覧を行っていたが、現在はワークフローにより統制強化されているという。
 2つ目は、業務プロセス一元化である。これまでオフラインだった販売と会計の業務プロセスが同一システム上で一元化されたことで矛盾が生じるデータの登録が出来なくなり、データの信頼性が増した。また、これまでは国内担当者は基幹システムを活用し、輸出担当者は他システムを活用していたが、双方がGRANDITを共通利用することで、こちらも業務統制が実現できた。
 3つ目は、システムの利便性向上。国内と米国支店との間のデータ生成と送付がGRANDIT内で実現したことで、データ連携担当者の負担が大幅に軽減するとともに、ヒューマンエラーが格段に減り、信頼性が増したと石川氏は判断している。また、承認プロセスがGRANDIT内で実施できるようになったため、リモートからでもシームレスに業務を進めることができるようになり、在宅勤務の可能性を広げることにもつながったという。石川氏は「管理職が外出先でも承認行為が可能となり、フットワークを広げることに成功しました」と述べる。
 4つ目は、経営指標報告のスピードアップと精度向上。これについては、コロナ禍が過ぎ、ビジネスが急速に活況を呈している中、より最適なBI構築が急務となっているが、GRANDIT導入により、データベースが一元化されたことから、それをベースに当社が求めている営業収支、予測等のデータ構築を計る上では非常にメリットが大きいと考えている。

GRANDIT導入事例 株式会社ジュピターコーポレーション様システム概要図

【今後の展望】

GRANDITに業務を合わせるという基本概念の浸透が今後の大きなミッション

 今後については、工場部門が独立した形で異なる生産管理システムを活用しているため、いずれは工場部門へのGRANDIT導入も視野に入れる必要があるという。石川氏は「GRANDITを導入して2年以上経過しましたが、社内にはまだシステムを業務に合わせるという考え方が残留しているため、意識改革を更に進めて、ERPに業務を合わせるという基本概念の浸透が今後の大きなミッションとなっています」と話す。また、GRANDITからのデータを活用して実績値と予測値を柔軟に収集できる仕組みの構築も急務だという。
 そして、今回の新基幹システム更改プロジェクトを振り返り、「双日テックイノベーションが同じゴールを目指して伴走してくれなければ実現できなかったと感じています。稼働後のサポート体制も十分で、細かい問い合わせにも真摯に対応してくれるので感謝しております」と評価する。また、「今回は当社にとって初めての本格的なERP導入でしたが、GRANDITはグローバル仕様の製品にはない国内のビジネス慣習に深く考慮したERPであり、ベストな選択であったと確信しています。しかし、フル活用するためには今後も学び続ける必要があります。双日テックイノベーションにはこれまで以上の支援を期待しています」と語る。

写真左より
双日テックイノベーション株式会社 アプリケーション事業本部 ERP事業部 技術一課 知花 みほ
株式会社ジュピターコーポレーション 代表取締役社長 浅野 俊康 氏
株式会社ジュピターコーポレーション IT戦略室 担当部長 石川 博基 氏
※所属部署名、役職名は、取材当時のものです。