インテリジェントな技術によって、事務作業などのあらゆるビジネスチャンスは拡大されます。疲れを知らないデジタル従業員であるソフトウェアロボットが、マーケティング、営業、経理、人事に参入してきています。その理由として先進国でも途上国でも人件費が上昇していることがあげられます。人間の労働者は休暇をとり、時には病気になり、100回の単調な作業を実行中に平均10回のミスを犯します。最近Samsungの従業員は不注意から同僚に1,050億ドル相当の配当を譲渡してしまいました。誤ったボタンを押したためにSamsungの為替レートが12%下落したためです。一方よく訓練されたロボットはほぼ間違いを犯しませんし、昼食やお茶、あるいはタバコ休憩も必要としません。それでも、業界によりますが、企業の日常業務の30%から70%を処理することができます。
Horses for Sourcesによると、2017年にロボットによる業務自動化(RPA)の市場は4億4300万ドルに達しました。自動運転自動車やブロックチェーンへの数十億ドル規模の投資と比べるとそれほど多くはありません。それにもかかわらず、これは年間成長率で36%を占め、2020年までに合計で10億ドルを超える可能性があります。UiPathなどのソフトウェアロボット開発者の資本金は昨年の10倍に増加しましたし、WorkafusionのRPAソリューションに対する需要は同期間に850%急増しました。Googleはまた、近年RPA関連のトピックに関する検索クエリが10倍に増加したと報告しています。
24時間働けますか
ロボットというとほとんどの人は車輪が付いた動かしにくい機械、あるいはボストンダイナミクスの鉄でできた犬を想像します。しかし、多くの人が気付いていないのは、ロボットはハードウェアとソフトウェアの両方の形態がありうるということです。ソフトウェアロボットはサーバー上に常駐しており、いつでもプログラムの起動、画面上のマウスの移動、ドキュメント内のセルの確認をすることができます。ソフトウェアロボットはエンタープライズRPAを介して人間の行動を模倣します。システムへのログイン、あるシステムから別のシステムへのデータのリプリント、レポートの生成、カレンダーへの会議やその他のイベントの追加など、日常的で繰り返しの多いタスクを実行します。
RPAの主な利点の1つは、その実装が比較的簡単なことです。システムに緊密に統合する必要はありません。人間は異なる情報入力を使用して自分のコンピュータ上でほぼ同じ操作を本質的に繰り返すので、このソリューションは会社の別の部門にも拡大することができます。さらに、Ernst&Youngによると、回収期間は6ヶ月から9ヶ月です。
その好例が、最近RPAシステムを導入したSiemensの医療部門であるSiemens Healthcareです。これは、疾患の診断のために顧客の遺伝データを収集するものです。このソリューションは、90以上の異なる設定を使用して分析用のパラメータを自動的に設定します。ロボットは15回のマウスクリックで必要なデータを抽出し、その後、結果はExcelに入力されてさまざまなレポートがまとめられます。2017年にErnst&Youngは人事問題に関するナレッジべースで情報を検索し、履歴書からデータを収集し、さらに会議やホテルの予約について従業員にリマインドする700台のロボットを導入しました。同社は1年半以内に日常業務で200万時間以上を節約する予定です。
RPA実装前の重要な考慮事項
RPAに対する企業の関心にもかかわらず、そのようなプロジェクトのほぼ30%は失敗に終わります。問題の大部分は、ソリューションの拡張、ロボットの管理と制御にあります。以下に、RPAプロジェクトを成功させるために考慮すべき事項をあげます。
- 企業のワークフローのすべてのプロセスがRPAの実装に適しているわけではありません。一般にソフトウェアロボットは、明確に定義されたビジネスプロセスが整っている場合にうまく機能します。ソフトウェア操作は厳密なルールベースであるため、RPAはルールよりも例外が多いプロセスでは使用しないようにするべきです。
- 非構造化情報を処理するためだけにRPAを使用しても、望ましい結果は得られません。スタンドアロンのソフトウェアロボットは、契約、アプリケーション、履歴書からデータを抽出することはできません。しかし、自然言語処理(NLP)技術と組み合わせると、パフォーマンスを70%以上向上させることができます。コグニティブRPAソリューションは、銀行、保険、小売、ヘルスケア、その他の分野への顧客のオンボードのような重要なプロセスに最適です。
- ソフトウェアロボットを監視する必要があります。他のITソリューションと同様に、RPAには定期的な更新と確認が必要です。セキュリティパッチ、ロボットがやり取りするプログラムのバージョン、データ入力フォーマット、ドキュメントの種類、さらにはパスワードさえも時間の経過とともに変化します。これはすべてのギアが所定の位置にある場合にのみ機能する時計仕掛けのメカニズムのようなものなのです。
本コラムは「http://blog.abbyy.com/software-robots-the-employees-that-never-sleep/」を独自の見解で意訳したものであり、原作者の意図を完全に表したものではありません。予めご了承ください。
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このコラムを連載いただいている日商エレクトロニクスでは先駆者としてRPAの自社導入にも取り組んでおり、経営企画部、財務経理部、人事総務部の3部門でRPAをGRANDITE連携で導入し、ROI 590%と770万円のリターンを実現しています。そして成功事例の分析資料も以下のセミナーレポート内で公開しています。興味がある方は是非ダウンロードください。こちらにはガイドライン的なものも書かれています。
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