スタグフレーションに備えた守りの体制と攻めの成長戦略に取り組む

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こうした取り組みで難しいのは、社内の意識改革です。利益管理を徹底する意識改革の一例として、「製品/サービス別粗利(コストと利益)の見せる化」というのがあります。製造業でも流通業でも、多くの日本企業は製品/サービスごとのコストと粗利を社員に見せないようです。これは、他社に利益率や業績を知られたくないというのもありますが、製品/サービスごとに利益率が分かると社員のモチベーションが下がると考えているようです。例えば、化学や素材業界では歴史の長い古い製品では既に競争力が無くなっていて売上額は大きくても儲けはほとんどありません。それは中国やアジア新興国など後発の方がコストも安く生産できるからです。また、古い製品を扱っている事業部や部門が既得権益を維持したいという思いもあります。しかし、現状では儲からない製品/サービスを売り続ける余裕などありません。儲かる製品/サービスに事業活動を注力する必要があります。そのため製品/サービス別粗利を社内に公開して、積極的な利益確保を目指すべきなのです。コスト削減対策の明確化と責任所在の明確化、利益目標を達成した組織・チームを正しく評価する報奨制度などモチベーションを高める取り組みをERPベースで進めることができます。こうした取り組みは、ERPが強みとするコスト削減や効率化そのものなので、これを促進するのは危機感の共有やビジネス環境の変化によるところが多いと言えるでしょう。

■景気後退だからこそ攻めの成長戦略に取り組む

 これから景気が悪くなる見通しが高い状況で、成長戦略の要となるのは安定している経済状況のソレとは違います。平常時の成長戦略では、新製品開発や多角化といった大きな投資と時間が掛かる取り組みにフォーカスしがちですが、景気後退時に求められる成長戦略は売上の維持・拡大に尽きます。全く新規の製品/サービスへの取り組みも重要ですが、景気後退の局面ではまず生き残ることが最優先事項です。つまり、既存の製品やサービスの売上を維持・拡大することから取り組みます。製品/サービスの、価格や機能は数値化や比較が容易です。価格を安くしても機能を増やしても、優位性の効果は短期間です。デジタル化がその時間を短くするためです。ではどうすれば、他社との優位性を維持できるのかという点ですが、比較的マネし易い機能追加などではなく、コピーが難しい独自のバリューチェーン構築、独自コンテンツ・サービス化にフォーカスすることです。

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